この本で取り上げてるのは、アウグストゥスの次の皇帝からの4代。
ティベリウス
カリグラ
クラウディウス
ネロ
ネロとカリグラは悪名高いと思うけど、他はダメ皇帝かどうか知らない。
読んでみた結果として、ティベリウスとクラウディウスはダメ皇帝ではありませんでした。
むしろティベリウスなんかはものすごく有能な皇帝で、この人があってこそローマ帝国が
その後長く続いた……と思ったのだが、どうも人民には嫌われたらしいですね。
政策その他に対する対応は超有能。だが剣闘士の見世物などを全然行わなかったことで
世情の人気はない。元老院との関係も必要最低限。親族間の関係もなかなか悪い。
人付き合いもごく狭い範囲。
……こう書くとそこまでではないが、まあ身近にいたらちょっとおつきあいは
控えたい感じの人でした。頭が相当良さそうなのに、全然笑わなくて、こちらに寄り添う
姿勢も全くなくて、ただただ冷然としている人。……まあ相手は皇帝だけれど、
友達にはなりにくそう。
ただ事績としては、塩野さんの評価も高い。チェーザレ・ボルジアもそうだが、
歴史上の人物を最初に教えてくれた人の見方に染まるというのはあるあるだし、
ティベリウスは面白く読みました。タキトゥスはこの人のことが嫌いだったらしいが。
カリグラは、そのあだ名の由来となった「小さな軍靴」――父について2、3歳の頃から
戦場で暮らしていたカリグラを、兵士のみんなが可愛がって子供用の軍靴を作ってあげた
――というエピソードはとても心温まるものだが、長じてのち皇帝位について以降の
カリグラにはいいところがほぼない。
在位わずかに4年。
幼少期は愛らしい子どもだったのだろう。24歳?で民衆歓呼のうちに皇帝位に
就くことになり、国家運営について学ぶことも考えることもないままだっただろう。
実際に帝位につくまで彼の身分は不安定で。カリグラの母はティベリウスを
「夫を殺した極悪人」だと考え、徹底的に対立し結果的に流刑にされ。
その母に育てられたカリグラがのびのびと資質を伸ばしたとは考えにくい。
だが、カリグラは皇帝として、ものすごくでたらめなことをしているかというと
そこまでは感じなかった。せいぜい政敵の粛清と放漫財政と度の過ぎた遊興――
それで治世4年弱で親衛隊の数人に刺されるという方法で暗殺されるとは。
とはいえ、元老院と対立したのは大きかったんだろうな。「ローマ人の物語」を
読むと、この頃のローマ皇帝の地位は絶対権力者ではなく、危ういバランスの上に
成り立った「第一人者」。中国の皇帝などのイメージで考えると間違う。
また、カリグラの事績については一次史料が少なく、定説の基本になっているのは
数十年後に書かれた史書が基になっているらしいので、実像はなかなか測りかねるそうだ。
クラウディウスは名前がかっこいいのでかっこいい人を想像していたのだが、
わりと貧相だったらしい。そもそもは歴史家として生活していたそうだが、
カリグラの暗殺により、突然皇帝に祭り上げられる。
皇帝として真面目に政務に取り組み、それなりに成果も上げたようが、恐妻家でもあった。
またこの妻・小アグリッピナも野心満々の女性で、数々の策謀も行なっており
(その中にはクラウディウス暗殺の可能性もある)、彼女が用意した敵への死刑執行書に
クラウディウスが内容も読まずに盲判を押すといったこともあったようだ。
クラウディウス「おお、久しぶり。奥方はお元気か?」
男「妻は死にました」
クラウディウス「なんと。残念な。いったいどうして」
男「あなたからの死刑執行書で」
……大意こういう会話があったらしいよ。
ちょっとコワすぎるんですけど。
ネロは暴君――というより、わがまま勝手の最たるものといった感じだなあ。
一番印象的なのは、ギリシャの吟遊詩人コンテストエントリーの旅に行ったことと、
詩人として凱旋式を挙行したこと。いやー、例えていえば日本国首相が
「アイドルになりたい!」とほざいて海外ツアーに出かけるようなもんではないのか。
職責を果たせよ、といいたい。
まあでも政敵を粛清したというのは暴君っぽいか……。
善政も行なっているそうだよ。哲人セネカも側近にいたし。のちに粛清するけど。
お母さんも強烈だしなあ。やっぱり幼少期の環境は大事だということだろうか……
前からうっすら気になっていたけど、ネロという名前の意味はサビニ族の言葉で
「果敢な男」という意味らしいよ。わたしはなんとなく「黒」に関係のある名前かと思ってた。
でもネロは14年も帝位にいたんだね。母殺しとかあったわりには長い。
「ローマ人の物語」ようやく半分くらいまで来たよー。
読んでると面白いから全然苦痛ではないけど、内容を覚えてるかというとほぼ覚えてない。
今後はさらに覚えられない時代に入るだろう。
まあいいよね。読んでいる最中に面白ければ。

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