林子平の墓所は、親戚のお墓があるお寺と同じでね。
そういう意味では本人に親しみを感じないわけではなく――
親しみがあったからこそまあ一応読んでみようかと古本屋で見かけて買ったんだけど、
実際に読み始めたら、早々にほぼ諦めた。
読みにくいのよ。
漢字・ひらがな・カナカナ混交文。これは読みにくいですよ。
そして内容も大して面白くない。これ、普通の現代文で、岩波文庫より大きな活字で、
抄としてなら面白い内容もあると思うんだけど、まーずらずら全部読むのはつらいねー。
多分3年くらいかかっているので、内容の連続性は欠片もない。
というわけで、読んだというよりも眺めた、という読み方からの感想。
――これさー、海国兵談ってほど海国兵談じゃないよね?
読む前は、海国兵談ってくらいだから外国に対しての軍備の必要性を説くものだと思ってたが、
その内容はほんのちょっと。「序」は海防の理念的なところを述べてるが、
他関連しているのはせいぜい第一巻の「水戦」(40ページくらい)だけじゃないか。
第二巻以降は「陸戦」「軍法」「戦〇」と続くんだけど……
――この〇の部分、わたしの読めない漢字ですよ。読めないどころか、今まで見たこともない。
「田」が上にあって、「各」が下。
これAIに訊いたところ、略の昔の書き方といっております。
「戦略」だったら意味的にも合う。
もう異国との戦いという視点はなくなっているのよね。単に戦のノウハウを述べている。
これが、かなり細かい、場合によってはこの細かさが初耳で
なかなか面白い部分はあるんだけど、そうでないところもまた多い。
たとえば「急流を渡る際には30人、40人一度に渡るべし」とか
「もし一人で渡らなければならないなら、石を背負うべし」とか
「戦場では竹筒に水を入れて腰間に帯ぶべし」とか、
わざわざいう必要ある?ってこととかね。
だがそういう戦場における「おばあちゃんの知恵」的なものも、冷静に考えると、
……アナタ、戦に出たことありませんよね?
と思うと急に冷める。
兵法書だから仕方ないんだけど、「自分はなんでも知っている」
というスタンスで書かれているので、戦に出たこともなければ見たこともない、
一介の医者がこんなのを書いていることに違和感がある。
というわけで、まあなんとか眺め終わったけれども、面白かったとは
とても言えない……でも読んで良かったとは思いますけどね。
有名作品を一つツブしたという意味で。

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