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◇ 三浦しをん「風が強く吹いている」

1年くらい前にアニメの方を見て小ハマリし、今回ようやく原作の方を読んでみた。
面白かった。

が、期待が大きすぎたせいか、そこまでではなく……。
何も事前情報なく読んだら「名作!」と思った気もするのだが、
「アニメよりも小説の方がずっと面白いよ」と聞いていたこともあり。
大感激!まで行けなかったのが残念。

ストレートに面白い話でした。青春まっしぐら。
ただ、どうしても乗り越えられない部分があったりするのがね。

たとえば、カケルが1年生に入って来てからようやく「10人そろった」といって
ハイジが竹青荘の住人たちを駅伝の世界へ追い込んでいくわけだけど、
……どう考えても前からいる人を鍛えておく方が先だろう。
たしかに10人いない状態で無目的なトレーニングはモチベーションが、という部分もあるが、
たとえば王子が規定タイム以内で走れるようになるかどうかは賭けだよね。
っていうか、普通ならないよね。

普通素人がほんの半年のトレーニングで駅伝10位以内に入れるようにはならない。
1人の天才的な個人の話ならまだしも、10人全員、100%の話だもの。
現実に即した話だけに、あまりにファンタジーだと感じた。

ここで現実に戻らされながら読んだのでファンタジーに乗れなかったなあ。
アニメで見た方が楽しかったかも。

しかし後半部分、走っている最中の一人一人の語り部分はやはり小説の圧勝。
アニメで表現するには無理があるものね。
アニメは、王子が16分半を切るまでのところが面白くて、後半はいまいちだった。

しかし箱根の山下りをしながらユキが思う、

カケル、お前はずいぶん淋しい世界にいるんだね。
(本を返してしまったので文言については記憶による)

というのはフィクションの価値だと思ったなあ。
普通の人が味わえない境地まで読者を連れて行ってくれる。
それはカケル側から見たよりも、むしろ普通の人であるユキの視点で語った方が心に残る。
より高さ、孤独を感じられる。

アニメでも思ったけど、箱根のその後をもう少し書いて欲しかった。余韻というか。
名残惜しい。
アニメよりちょっとは長いんだろうと思ったが、小説はアニメより短いくらいだもの。
アンコールで出演者たちが一人一人お辞儀をするじゃない。
そのくらいの名残は惜しませて欲しい。

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