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< オリエント急行殺人事件 第一夜 第二夜 >

12月の段階で、年明けに萬斎さん主演で「オリエント急行の殺人」をやると知って、
わーい♪楽しみ楽しみ♪と思って、放送を指折り数えて待って録画したのだが、
……結局1月11日12日放映のドラマを3月も半ばになってから見るわけやね。
いかに自分がモノグサかがわかる。

見始めてから第一夜が3時間であることに気づき、ええ!?一体何を描くのか3時間もかけて!と思ったら、
まさかの冒頭から解決篇まで全部やってしまい。
じゃあ翌日に何を出して来るのかと思ったら、第二夜がまた3時間近くで、
まったくもう、時間をこんなに贅沢に使えるなんて、さすが三谷幸喜(の立ち位置)。

全体的には面白かったですけれどね。

第一夜。

冒頭、あんなにパロディっぽくて、一体どうなることかと思った。
特に萬斎さん!アナタ、そんな熊倉一雄の物まねで!いいの、それで!?
でもまあ惚れた弱みというか、わたしは楽しみましたよ、彼のコッテリした演技も。
しかし彼はいつもコッテリなので、いつかは(テレビ向けの)さりげなく上品な演技も見てみたいものだ。
そういうことも出来るのだろうか。

キャストをほとんど知らないで見始めたので、出てくる人ごとに何だか楽しくなっていた。
楽しかったのは高橋克実。沢村一樹。草笛光子。だれだかわからなかったけど八木亜希子。青木さやか。
小林隆。佐藤浩市。笹野高史。あ、忘れちゃいけない西田敏行と相島一之。

高橋克実は、いつもあれだといえばあれだが……でも好きなんだよなー。この人が出て来ると作品として安心。
沢村一樹も好き。シリアスもコメディも出来る。今回はシリアスな役を好演。
草笛光子の侯爵夫人はかっこ良かったですねえ!好き。

八木亜希子はそろそろ50歳になんなんとしているのに可愛いね。今回の掛け合いで一番楽しかったのが、
八木亜希子と萬斎さんの掛け合い。すごくテンポが良くて、ほんとは全部こういうコメディにしたいんだろうな、
というのがよくわかる。
青木さやかはそもそもそんなに好きではないはずだが、この顔ぶれでこの役柄で光っていた。ごつい体が活きていた。

小林隆は安定の三谷組。
佐藤浩市はワルが存分に出せてたかというと出せてない。もっとワルくても良かったかもね。
安定の笹野高史。
西田敏行はいつものコメディ色を全く消して、あくまでシリアスに控えめに。久々。
そして相島一之は不安定の三谷組。冒頭ちょっとしか出てこないし。

原作のオリエント急行の話なんて、もう誰でも知ってるんだからその話をなぞっても仕方がない。
……と言おうと思ったところ、本を読んでもミステリを読まない人たちには「オリエント急行の殺人」と
言ってもピンと来ないようだった。そういうもんですか、としみじみ。

ホームズ、ルパンは子供向けのバージョンが出ていて子供の頃読んだ人は多くても、
クリスティ、エラリー・クイーンとなると……でもクイーンの子供向けのものは単発で読んだ記憶があるな。
でもクリスティは作品の多くをホームドラマ的な人間模様が占めるから、子供向けにはしづらいだろう。

まあオリエント急行の殺人は、知ってる人は知ってるんだから、存分に群像劇で遊んでいいところやね。
第一夜はけっこうまとまっている気がした。テンポを愉しめた。

第二夜は……
三谷幸喜のオリジナル。うーん、面白くないことはなかったけど……
この人の話って総じて面白いんだけど、面白さを追求するあまり、ちょっと話に無理が出て来ちゃうのが残念だ。
そこらへんの妥当性をもう少し考えてくれればありがたいのだが。

今回の第二夜の話では、モノが殺人の話なのに、草笛光子や杏の演技が軽すぎて嫌だった。
特に杏は、第一夜では「今までヘタだと思っていたがけっこう雰囲気出してる」と印象が好転したのに、
第二夜では“お前は小学生か!”という行動になっていて台無し。
まあ脚本がそうなっているんだから杏だけの罪ではないと思うが、あれでは。

松島菜々子も喫茶店のマスターに半笑いで「仲間に入ります?」なんて誘うしなー。
あれでは飲み会に誘うノリである。
こういうとこ、もう少し考えて下さいよ、三谷さん。
殺人に関する部分は、徹頭徹尾シリアスに話を作るべきだったと思う。

沢村一樹が不必要に12人にこだわるところと、西田敏行があれだけ言っておきながら
あっさり仲間になるところもちょっと乗り越えられなかった。
あと、二宮何某はミスキャストじゃなかったかね?
わたし、あの人、すごく腹黒いタイプに見えるんだよなー。なのでそういう人が奥様への思慕が理由で
佐藤浩市の秘書になって一番大変な役割を果たす……というのがしっくり来ない。
そもそも奥様への思慕がコミカルになっているので、それと殺人への加担は無理がある。

というイロイロは大変気になったけど、まあまあ面白かった。
点数をつけるとしたら、第一夜は80点、第二夜は60点。点は例によってキビシめ。

わたしは三谷さんの舞台装置が好きでね。
彼は恐らく英国ヴィクトリアンが好きだろう。いつもそういうテイスト。(「清須会議」以外は。)
なので今回の列車「東洋」の内装も好きだし、萬斎さんの衣装も好きだし、剛力家のお屋敷も好きだった。
そういうところが目に愉しいと、それだけで20点くらいを占めるしね。
昭和初期に話を設定したところがお手柄。旨味が増す。

このくらいがっつりしたドラマを見せてくれれば満足です。
テレビではテレビでしか出来ないものを。この力の抜け具合は映画よりもテレビにふさわしい。
ちょっと当たったからって、なんでもドラマから映画にしてやろうという風潮はヨクナイ。

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ぜひ原作本も。

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