PR

◇ 万城目学「ホルモー六景」

「鴨川ホルモー」の続編、というよりスピンオフ。

「鴨川ホルモー」の内容をちょっと忘れているのでね……。
脇役のことを書いた本作を存分に楽しめたとは言えないのだが。
続けて読んだらもっと面白かっただろうな。
たった2、3か月前に読んだ本のことまで忘れてしまうのだから、読書は徒労です。

今回は前作では完全に脇役、というよりもチョイ役だった他大学の学生たち・元学生たちについて書いた短編集。
続編はあり得るかもしれないが、こういう形の短編は想定外だったので大変に意外だった。
だって前作ので他大学って、名前は出て来るし、ちょこっと性格や出来事まで出てくる人もいるけど、
基本的には背景の域を出てないやん。

それを前作の欠点とは思ってなかったが、こういうスピンオフが書かれて、その上で振り返ると、
前作の時点でもう少しチョイ役のキャラが立っていてもいい気がするかなあ。

そもそも万城目学は、色々なタイプの作家がいるなかで、完全に“シチュエーションオタク”ですからね。
設定に燃えるタイプ。
今作の中では「丸の内サミット」がシチュエーション型の最右翼かな。これはけっこう面白かった。
が、このホルモーなるもの、極小の範囲でないとリアリティが薄れる。……リアリティつったって、
何しろオニを使役する話なんだから、そういうファンタジーな意味でのリアリティだが。
あちこちに話を広げてはいけない気がする。これはまあ、地味だけど大チョンボ。
……チョンボとか今どき言いませんか。そうですか。

「もっちゃん」は上手くしてやられた感。
ちょっといい話に仕立てあがっている。

「同志社大学黄龍陣」は、前作の(キャラが立ってた)芦屋満が主要な脇役で出てくるので、
ようやく前作との繋がりを感じる部分。
しかしこの話は同志社大学をコケにしてませんかね。元京大生の作者が書く話なので余計に思うのかもしれないが。
いくらなんでも薩長同盟って何?ってのはないでしょう。歴史が苦手な人の設定にしてもさ。
そもそも字面を見ればだいたいわかるんだから、知ったかぶりした台詞として
「そうだよね、結ばれたよね薩長同盟」と漢字で書くのは止せ。重箱の隅つつきすぎですが。
Satsumaと書いてあってサツマイモしか、Ishinと書いてあって明治維新を、思い出さない
英文科の学生もどうかと思う。

最後の六つ目の短編集「長持ちの恋」でようやく短編小説になる感じ。
それまでの五つはまさにスピンオフといったところで、切り取ってちょっと肉付けしただけの感が強い。
まあ面白いんだけど――やっぱり何か食い足りないかなあ。
話として無理が若干感じられるが、まあいい話になってるしいいか。

ホルモー六景 (角川文庫)
万城目 学
角川書店(角川グループパブリッシング) (2010-11-25)
売り上げランキング: 5,938

近日「プリンセス・トヨトミ」の映画がテレビ放映される予定。
とりあえず録画してみる。

コメント