ヨンデモ本。
これの前に「目黒の狂女」「団十郎切腹事件」を読んだ。
そちらはミステリ短編集。中村雅楽という大物歌舞伎役者を探偵役にしていて、なかなか面白い。
50年くらい昔に書かれたものなので、あっと驚く大トリックという感じではないが、
当時のノスタルジックな雰囲気と、やはり歌舞伎周辺の面白さとで魅力がある。
中村雅楽シリーズはかなり厚い短編集が4、5冊あるので、全部読んでみるつもり。
「ちょっといい話」の方は、こちらはエッセイというか、大変短いコラム集。
元々、作者は歌舞伎評論家――ということに最終的に落ち着いたけれども、なんか歌舞伎の
周囲であれこれやっていた人――なので、ミステリは基本的に余技。
歌舞伎の本を山ほど書いており、そういう生活の中で溜まった面白い話を集めたもの。
歌舞伎周辺メインで、その他文壇、芸能界、歴史ネタ。
けっこう落語のような落とし噺も多い。
これはねー、実際にその人たちと交流があったからこそ集められた話だよ。
取材で得られるネタではない。あとがきによれば、他人から聞いた話も相当程度
混じっているそうだが、それだって雑談の中で「そうそう、こないだ誰それがね……」と
問わず語りに語られるような内容だ。
ちょっと読んで、くすっと笑う。
またちょっと読んでくすっと笑う。
――人生の金言などではないが、そういう読み方が出来る本も貴重なのではないかな。
ちなみにノスタルジックな雰囲気は中村雅楽と共通。
まあそれもそのはずで、作者は1915年生まれで、内田百とか江戸川乱歩とか
現代からすれば歴史上の人物と言いたいような人がたくさん登場する。
一番若い?ところで田中邦衛くらいか。下限はその辺じゃないかなあ。
この人にはこのシリーズが数冊ある。ちょこちょこ読んで行く。
しかしこのタイトルで検索すると、山ほど引っかかってくるなあ。
「いい話」だらけってのも……ちょっと白けるが。

コメント