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◆ 朝鮮王朝の絵画と日本 ~宗達、大雅、若冲も学んだ隣国の美~

いや、これはヒドイ。
企画展でこれほど適当感を感じたことは初めてかも。

まあオカネはないんでしょうけど。予算がない中、それでも企画展は
なんとかしてでっち上げなきゃいけなかったんでしょうけど。
モノとしてどうなんですか、詳しい方。わたしは水墨画はサッパリわからないのだが、
レベルとしてエキシビで展示する価値のあるものなんですか。

何しろ第1室の展示品の保存状態が酷かった……。
たしかほとんどが掛け軸なんだけど、横ジワが入りまくっているわ、紙の地色は真茶色だわ。
見るのにツラくて見られない。
あの横ジワと褪色では、たとえモノがモナリザだってツライと思うよ。

第1室がそれで、とてもテンションが下がった。
その後ザクザクと見て行ったが、足を止めたくなるようなモノはほとんどなく。
唯一前半で立ち止まって見たのは掛け軸二幅で対になっている蘭の絵。
それだけは線の美しさが良かった。
あと葡萄と栗鼠の屏風も(葡萄と栗鼠の画題はなぜか多かったのでタイトルが特定出来ないが)
ちょっといいかなとは思ったが。それくらいですねー。

面白かった点を言えば。
紙織(ししょく)という手法は面白かった。あれは興味深く見た。
紙織というのは、普通に描いた絵に非常に細かく縦に切り込みを入れていって、
そこに同じ幅の白紙を横に交互に通していく、というもの。
つまり、2ミリ四方くらい?の絵と白の市松模様が出来上がるわけやね。
なんのためにそんな面倒な手法を取るかというと、……それがよくわからないのだが、
色彩はパステル系になってなかなか可愛らしい。(元々淡い色で描いてるけど)
カクカクしていて、デジタルなイメージにもなる。

ところが絵自体は、うーん、サッパリ。
民画の面白さを味わえって言われてもさー。朝鮮王朝絵画のスタンダードに触れた上なら
応用編(崩し)である民画の面白さも多少はわかるかもしれないが、
スタンダードと言えるほどのレベルの作品があったかどうか。
むしろ、「なんでこれをわざわざ……」というものが多々あった。
ただでさえ企画展なんてのは客寄せなんだから、素人相手じゃなきゃダメでしょうが。
もうちょっととっつきやすいものとか派手な目玉を持ってきてくれないと。面白くない。

展示品がほとんど個人蔵。
やはり個人蔵は、一般的に博物館の収蔵品に比べたら劣るでしょう。
個人蔵じゃないものも国内の美術館から持ってきたものばかり。
国内の美術館にある朝鮮王朝の美術品は、レベルにそれほど期待出来ないでしょう。
天下の大英博物館でさえ、日本コーナーの展示品にそれほど大したものはないんだよ。

やはりこういうテーマで企画をするのなら、韓国の国立博物館から
目玉になり得る一級品の一つ二つは持ってきて欲しいよ。
帰宅後に展示品リストを見たら本場から来ているものもけっこうあったようだが、
しかし実際に見ている時はまったくそれに気付かなかったんだから、
大したものが来ていたとは思えない。
本場から来ていたと言っても、大学付属博物館あたりだと質にあまり期待は出来ないし。

とにかく今回の企画展は展示物の質に多大な不満があった。
詳しい人には面白かったのかもしれないが、門外漢であるわたしは楽しめなかった。

何よりテーマの立て方に無理があった!
こういうタイトルを付けるってことは、朝鮮王朝絵画からの日本美術への影響、という部分を
説いていかなきゃならないわけだよね?
それはそんな簡単に解説出来るもんじゃないだろう!

だいたい朝鮮半島と日本の関係性だけで話は完結しないだろう。
もちろん影響を受けてないわけはないのだが、中国を無視して話は進まない。
朝鮮半島―日本という関係に限定して追及するなら、
仏教伝来時の仏像彫刻くらいしか意味がないんじゃないか。
少なくとも遣隋使が始まってからは、朝鮮半島―日本という直列関係は希薄になっていると思う。
中国の文化的な衛星国家としての朝鮮半島、日本であり、
むしろ中国由来の元ネタをそれぞれの国がどう咀嚼したか、というテーマの立て方の方が
一般的に展開出来たと思うのだが。(モノとしてそういう例を集められるかどうかは知らない。)

本来、わたしは若冲の「樹花鳥獣図屏風」を見たくて行ったのだ。
しかしこの展示もアレだったねえ。一応目玉といっていいかもしれない作品なのに。
置かれた場所はほぼ最後で、メインイベントと言って言えないことはない順番だが、
せまっくるしい展示ケースに特別感も何もなく、アイキャッチも全く考えられずに置かれていた。
もうちょっともったいぶらないとさー。
しかも、それと紙織図を関連付けようと思うならば、隣に持ってくる紙織図、
もっといいものを見せんかい!!なんかもうてきとーなちっちゃい掛け軸と
比較せいって言われても、「なんじゃそりゃ?」と思っちゃうよ。

この屏風は、以前テレビ番組で見て興味を持ったもの。
デジタルグラフィックの先駆けという風な言われ方をしていた。
もっとずっと大きなものだと思っていたし、なんかアメリカあたりの日本美術収集家が
持っていたような記憶があるのだが……
予想よりも小さく、展示方法も悪く、「おおっ!」的感動は全く無し。

紙織手法と関連があると……言えば言える、という感じかねえ。
むしろ、効果としては点描手法に近い気がする。
デジタルというにはあまり升目を重視してないからなあ。
一か所、カクカクと輪郭線をとっていたところはあったが。
あそこだけ、なんで升目にそって描いたんだろう?

せっかくならば、もう少しいいものを見たかったなー。
近くて遠い隣国。朝鮮半島の美術と言って全く思い浮かぶものがないということに
忸怩たるものを常々感じていたので、これぞというものを何か一つでも見たかったのだが。
残念だ。オカネがないんだったら、テーマをそれ相応のこじんまりとしたものに
しておくべきだったんじゃないかなー。

次は6月に「古代カルタゴとローマ展」。これは行くぞ!
カルタゴはなんとなくロマンチックな感じがして好きだ。
チュニジアには多分行けない気がするので、エキシビが来てくれるのは非常に嬉しい。
……が、期待して、次も今回並みだったらどうしよう。
9月から来年の4月まで、内部改修工事のための博物館は休館。
休館直前のエキシビなんだから、リキ入れてくださいよー。

ちなみに来年4月の再開一発目のエキシビは「聖地チベット――ポタラ宮と天空の至宝――」。
チベットはポタラ宮の映像をテレビで見て衝撃を受けたので好き。
チベットには多分行けない気が(以下略)。

最後と最初はキッチリいきましょう。

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