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◆ 竹久夢二。(NHK「美の壷」より)

昔はそこそこ好きだったんだけど、最近はあまり……。
年のせいか、あの甘さと揺らぎが口に合わなくなってきている。
「黒船屋」くらいしっかり描いてあれば落ち着けるが、
夢二の美人画は、吹く風のような筆遣いですからね。どうも雑に見えて……
雰囲気だけでは酔えない。

しかしこの番組を見て、色合わせの妙は改めて実感した。
「色使いがいい」――それは夢二の絵でいつも言われていることだけれども、
普段は全体の印象しか見ないのに、テレビでは一部分を取り出して見せていたので、
なるほど、と思った。独特の中間色。またそれを夢二らしく合わせる。
いかにも夢二、と感じさせる。

美人画より、むしろデザイン画の方が、今は好きだ。
デザインだと構成がちゃんと感じられる。その「考えましたよ」感で赦せるというか。
便箋、封筒、千代紙のデザインは実にいいですよね。和も洋も感じる、伝統もモダンもある。
こういう位置にいるのはなかなかに稀有なことではないか。
時代背景もあっただろうけれど。いわゆる大正ロマンというのは、その和洋・新旧のバランスが
面白くとれていた時代、ということなんだろう。

彼の生涯の仕事を見ると、ちょっとウィリアム・モリスを思い出す。
モリスの方がよほど性格的に勤勉で、そういう意味ではあまり似ている感じもしないが、
しかし(比重の違いはあれども)文筆家、商業デザインの成功者、多才、という特徴と、
何よりデザイン自体がヌーボーで繋がっている。
もっとも時代は2世代くらい違うが。夢二はモリスを意識しただろうか。

ちなみに昔、「夢二」という映画を見た。
監督が鈴木清順、……今となればその作風にびっくりはしないが、
その時は初清順作品だったから、非常に落ち着き悪く見た記憶がある。わけわからんよ。と思った。
自分における夢二のイメージの低下は……正直言えば、この映画から来ている部分もありそうだなあ。
何か女にだらしないところばっかり見せられたような気がして……
そういう人が描くあのゆるゆるの女たちは、あまりにもそのまま過ぎるように見えてしまうんですね。

浴衣なんかもデザインしている。夢二の浴衣だったら着てみたい気もするけれど、着る機会がね。

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