◇読んだ本の感想。

◇読んだ本の感想。

◇ 万城目学「パーマネント神喜劇」

こないだの「バベル九朔」が思いっきりこってりだったので、そういう作風の人だと定着していたが、今作はずいぶんあっさりめでしたね。長めの連作短編4つ。ぎりぎり中編の長さか。2時間程度で読み終わったので楽だった。ありがたくはある。その分あまり印象...
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◇ 「木下杢太郎 荒庭の観察者」

こんな副題がついているから、てっきり評伝か何かだと思っていたが、実は単なる本人のエッセイ集だった。エッセイというより散文詩と言った方が正しいかな。木下杢太郎の関連本を課題図書にリストアップしたのは7年とか10年前なのだが、最初に本人の作品を...
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◇ ディクスン・カー「皇帝のかぎ煙草入れ」

これは面白かったですね。海外ミステリっていうと、翻訳のこともあり、通常けっこう長いのよ。文庫本400ページがデフォルトなイメージ。でもこれは300ページ。読むのが楽だったー。そして話もサクサク進む。少なくとも序盤は。小説としてはちょっと雑な...
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◇天藤真「大誘拐」

突然「天藤真を読みたい」と思った。この人は読んだことはないけれども著者名はなじみがあり、特に創元推理文庫のゆるいイラストで親近感を持っていた。天藤真で有名なのは「大誘拐」でしょう。映画にもなったしね。ではまずこれを。そしたら想像通りの面白さ...
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すれ違い続ける人々。円地文子訳源氏物語「夕霧」より。

※3年くらい前に「円地文子訳源氏物語」を読んで物を思ったので書き始めた文章だったが、さわりだけで5000字くらいになったのでまとめられず、途中で止めたまま放っておいた。だが力作なのが惜しくてメモ帳にずっと残していた。断片ではあるのだが、上げ...
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◇ タニス・リー「冬物語」

ファンタジーは総論的には一応好きなつもりなんだけど、各論的には面白くないものが多い……と思っている。そのなかでこれはまあまあでしたかね。中編だったのも良かったんだろうな。文庫本1冊のなかに中編2つ。それでも内容が少し薄かった気もするが、この...
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◇ 北村薫「うた合わせ 北村薫の百人一首」

北村薫はとても好きな作家だったのだけど、近年は少し食傷気味。実はこれ、いわゆる百人一首についてのエッセイだと思ったのよね。国語の先生であった人だし、まあそんなに驚くようなことも書いてないだろうし、さくさく読むつもりで借りた。そうしたら現代短...
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◇ シルヴィー・ジェルマン「マグヌス」

最近読んで気に入っている辻由美。彼女の著作「読書教育 フランスの活気ある現場から」を読んで食指が動き、今回読んでみた。辻由美の翻訳、もしかしてまともに読んだのは初めてかな?静けさと詩情が出ていてとてもいい訳だと感じた。わたしはこの人、エッセ...
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◇ 「夏目漱石全集 3 草枕 二百十日 野分」(ちくま文庫)

夏目漱石は好き。でも書簡集までを含めた全集をがっつり読んだことは多分ないので、今回読んでみることにした。小説作品は読みやすいちくま文庫で、それ以外は一番充実してそうな(しかし読みにくそうな)岩波の「底本漱石全集」で。多分小説は若いころ、一通...
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◇ 吉田修一「路(ルウ)」

吉田修一は「横道世之介」の1作目と2作目を読んで、意外にほんのりしていると思った。何しろ最初は後味悪い系というイメージだったので、実は今もこわごわ読んでいる。そしたら今作もほの明るい系でしたね。むしろ今までで一番明るいか。最初新幹線の話から...