うーん。……これは現在のわたしが最も読んではいけない夢枕獏だったか。
彼の小説を何冊か読んで、今はその薄さが気になっている状態。
エッセイ関連なら薄さも気にならないのではないかと思い、とりあえずこの本を読んでみたが、失敗だった。
というのも、実はこの本って、彼が書いたあとがきをひたすら並べたものだったのだ。
再録嫌いなわたしにとって鬼門、再録も再録、全編これ再録。
まあ、そうは言ってもそれほど夢枕獏の本を読んでいるわけではないからね、
この中で実際に読んだことがあるあとがきは87編中2編かな?
なので、「同じものを読まされている!」と怒る必要は全くないわけだが……
しかし。あとがきというのは(夢枕獏においては特に)近況報告という側面もある。
そーすると、内容が似たようなものばっかりになってしまうのは否めないのですねー。
1冊の半分まではそれなりに読んでいたが、後半はざく読みになってしまった。だって飽きるんだもん。
こういう類は、かなり夢枕獏が好きじゃないと読めません。
わたし向きじゃない。
しかも自己陶酔型のあとがきなんだよなー、このヒト。
彼のあとがきって「この本は絶対に面白い」が決め台詞らしいの。
これってどうなの?「1000回繰り返せば嘘も本当になる」という、詐欺の類に思えてしまう。
もしかして、売れたもん勝ちという考え方のヒトなのか。
……わたしは日本人らしく、謙譲の美徳を(自分についてはともかく他人に対しては)求めたいので、
こういうのを読むとなあ。ふへー。脱力感。
でもまあ、収穫がないこともなかった。
そーかー、この人、やたらと書きまくる人だったのね。デビューから13年間で83冊、
ピーク時は1ヶ月に1、2冊のペースだったっていうのだから。そんなに書いてたのか。
……そりゃ中身も薄いはずだわ。わたしは、むしろみっちり書く人だと思っていたからこそ
「みっちり書いてこれかい?」という疑問になっていたわけで。
それから、「バイオレンス&エロスの書き手」だということも知らなかった。
陰陽師が入り口だったからねえ。テレビで見る分には穏やかそうな人だし。
そうかそうか、わたしは夢枕獏を根本的に勘違いしていたんだ。
こう認識出来たのが収穫。
収穫はもう一つあって、これは夢枕獏とは直接関係はないけど、
「パヴァーヌ」が「孔雀舞」という意味であると知ったこと。
誰だかの曲に「亡き王女のためのパヴァーヌ」というタイトルの作品があって、
パヴァーヌとは何だろう、とココロの片隅に引っかかっていた。
今回のこの本で、孔雀舞にパヴァーヌとルビが振られていて、おお!そうか!と思う。
忘れた頃の疑問解決というのはなんだか楽しいよね。
(ちなみにwikiによれば「亡き王女のためのパヴァーヌ」はラヴェル作曲。また「孔雀舞」という
意見の他に「パドヴァの踊り」の転化であるという意見もあるそうだ)
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収穫はあったわけだけれども、……でも夢枕獏、嫌いになっちゃいそうだなあ。
もう少し読んでは見るつもりだが。旅行記を中心にあと5,6冊……でもそれ以上は無理かもしれない。
次はごく普通の旅行記にしてみよう。この系統なら、多分失望しなくてすむと思うのだけれど。

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