モームは何十年か前に数冊読んだ記憶がある。5、6冊だった印象はあるが、
今タイトルを見返しても一体何を読んだんだったか……そもそも内容を覚えていない。
タイトルで確実に読んだ記憶があるのは「アシェンデン」「魔術師」「サミング・アップ」、
「月と6ペンス」は読んだかなあ?「剃刀の刃」は?忘れてしまった。
多分「お菓子と麦酒」は初。面白いというコメントを見て読んでみて、
実際面白くはあったんだけどちょっと釈然としない思いもある。
何が釈然としないかというと、活写される登場人物の多さね。
一人称の主人公がまずいるじゃない?その友人の作家がいるじゃない?
そして死んじゃった老齢の作家がいるじゃない?
彼の最初の奥さんであるロウジーが肝なんだけど、この人をもっと書いてもいいと思った。
二番目の奥さんも変に出張って来るし、
ジョージの旦那とかトラッフォード夫人とか、なんか中途半端に生き生きしてて、
……それはモームの人物描写の上手さかもしれないが、他の人に筆を割きすぎてないかなあと。
まあ自伝的要素の強い作品だといわれたら、そうですか、というしかないがね。
実在の人物をフィクションとしてばっさりなかったことには出来なかったのかもしれないが。
でもわたしはモームの人生についてほとんど何も知らないから、
なんかバランスが悪く感じるのよね。フィクションとして。
とはいえ、面白くはあった。最初の奥さんのことが好きになるもの。
でもこういう、善人でありつつ相当な尻軽女、という設定は、
当時の価値観でいえばかなりインモラルだったのかもしれないなあ。
100年前に書かれた話。それにしては軽みのある話。
でも訳がね……。悪くはないが、昭和34年初版のこの本はやっぱり訳が古いよ。
これはこれで古い訳を楽しむことは出来るのだが、純粋に物語を楽しむという意味では、
他の訳の選択もあるかも。
新潮文庫の古いヤツは文字が小さいのでそろそろ読むのがツライしねー。
ちくま文庫あたりがいい気がします。わたしは昔ちくまで読んだ気がする。

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