ああ、映画館で見たかった。
これは見逃してしまっていたのだ。多分、映画豊作のシーズンに重なったんだと思う。
二者択一の状態になって、別な映画を選んだような気がする。なんだったかは忘れたけど。
地上波でやってくれて嬉しい。
しかし、実際に見たら事前の印象とだいぶ違いましたね。
予告だけは何度も見てたんだけど。それから想像するに、いかにもな悲恋を扱った、
古典的正統的なミュージカル映画だという印象だった。
ところがドッコイ。
画面的にはなかなかファンキーな……(という言い方が果たして妥当かどうか、
今ひとつ自信がないけれども)映画だった。いや、ストーリー自体は恐ろしいばかりの定番で、
悲恋の恋人たち、彼らの仲を裂こうとする金持ち、金持ちに膝を屈しなければならない状況……と、
どーも食指が動かないような「お約束もの」なのだが。
しかし、直接ストーリーに関わらない挿入部分で、うまく勢いがついている。
細切れのダンスシーンとか。全体的に色彩の洪水、その中で蒼白い画面を上手く使っている。
わたしは基本的にフラッシュのような切り方は好きじゃないんだけど、
これは珍しく、相当多用されてもうるさくならず、成功していると感じた。
いや、それにしてもユアン・マクレガー、歌ってるんですか?
なかなか可愛い声ですね。かなり気持ちよく聴いた。
ニコール・キッドマンも、モデル→女優で、これだけ歌えれば充分。不満はない。
まあ、歌だけで価値がある映画とまでは言えないけど。
役柄として良かったのは、何と言ってもジドラー。しみじみ、良かった。
彼の役にはすべてがあったね。理想も現実も。優しさも冷酷さも。不気味さも可笑しみも。
「Show must go on 」という言葉はよく言われるものではあるけれど、
ジドラーが、笑いながら、恫喝しながら、苦しみながら、言うその言葉には多くの意味があった。
よく出来た映画だと思う。まあ……ミュージカル映画として考えるならば、
歌自体という点では少し足りないかな。
でも映像はなかなか。映画館で集中して見たかった。録画したのを見たのだけれど、
やはり途中で電話がかかってきたりすると興をそがれてしまうもの。
映画は映画館に限る。
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