少し前に川端康成の「雪国」を初めて読んだばかりだったので、
番組表で「雪国」と見た時に何も考えずに録画した。
てっきり10年くらい前に作られた映画だろうと思っていた。
そしたらNHKでつい先日作られたドラマなんだってね。
というか、再放送じゃなくて本放送を録画したんだね。ほうほう。そうかい。
それは知らなかった。
冒頭、トンネルはトンネルでも夏のトンネルだったので、はい?と思ったが、
まあ最後まで見たら納得出来た。
でも原作は全体的にあんまり納得出来なかったんだよなあ。
語り手の存在感の弱さもさることながら、駒子と葉子の関係性も。
このドラマの方がなんぼかわかりやすい話になっていて、納得感は若干上がった。
あくまでも若干だけれども。
まあわたしは駒子と葉子の関係性は、少なくともドラマでは、男を間に挟んだ
愛憎という風に見ましたけれども、原作だとそういう感じもしなかった。
映像的に工夫を凝らされていた――凝りすぎかもしれないと思うほどに。
まあ雪の中のマントや照明の色合いもきれいだったからいいが。
構図はちょっと狙いすぎか。
高橋一生はこのドラマの主人公にぴったりだった。
心底は冷酷で自分が可愛い人だろうが、見てくれと静けさから
それが前面に出ない得な人。ずるい人。
あまりこの役がくっきりしても多分この話には違うんだよね。
その線を押さえた、そして原作よりもわずかに印象が強い、良い造型になっていた。
奈緒がこういう文芸作品に出るようになりましたか……。
そこまで馴染みがある役者ではないが、「あなたの番です」の時に、
相当面白い役柄だったんだよね。ちょっと注目した。
蒼井優の後という気はしている。この役ももう何年か前だったら蒼井優が
やっていたかもしれん。
演技自体は「スパイの妻」の蒼井優とかなり近いが、
それが演出者の求める演技なんだろうから、奈緒は健闘している。
駒子は原作でもうっとうしい女だな、と思ったんだからそれがドラマになっても
うっとうしいのは仕方がない。正解。
奈緒と高橋一生の顏の演技で「おお」と思ったシーンがあった。
どこだったかは忘れたが。
奈緒は振り向いて首を急角度でグイッと曲げて泣き顔になるシーン、
高橋一生は火事のシーン。
この2人とあとは当時の「雪国」の雰囲気を堪能するドラマですね。
わりと飽きずに見られました。二度見るかというと見ないだろうが。
文芸。ですな。
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