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◇ 伊坂幸太郎「終末のフール」

ひさびさ~~~~~な伊坂幸太郎。
10年じゃきかない。20年は経たないけれども。
「砂漠」と「魔王」は読んだ気がするからなあ。

まあ伊坂幸太郎はそんなに好きじゃなかったんです。
すっきりしない小説だしね。後味が悪かったりするしね。

でもこの本は面白かった。

短編というのも読みやすかったし、
短編ごとに若干カラーが違い、後味が悪かったのもあったが、
けっこうほのぼのしているのもあった。

終末のフールはお父さんが嫌い。
太陽のシールはいい話。好き。
籠城のビールはいい話ともいえないけど、救いがある結末。
冬眠のガールも好き。
鋼鉄のウールは半々。ぼくもいいし、苗場さんもいいけど、それ以外の人が。
天体のヨールはまあまあ好き。
演劇のオールはまあまあ。
深海のポール。これはどうだろう……何とも言えない。

このいい話と苦い話が交錯する短編集において、
もう少しだけいい話の方へ振れてくれたら、伊坂幸太郎、好きかもしれんが。

小説の設定は、
8年前に判明した事実。小惑星が地球にぶつかって、人間は全て死ぬと。
みんながパニックになった今までの5年間。殺し合いも暴動もあり
それが最近小休止になった。
破局まであと3年間、今後どうなるかわからないけど、凪の頃。

……なんか現実社会のこのタイミングで「日本沈没」を読んだり、
これを読んだり、つきすぎだなあ。
いったん本から顔を上げた時、自分がどの時間軸にいるか迷う。

舞台が「仙台」ってはっきり書いてある。
そこまで地域に密着した描写にはなっていないけれど、
まあだいたい想像しながら読んでいた。
そういう楽しみもあった。

今後は「ゴールデンスランバー」となんだかってエッセイを読もうと思う。

 

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