映像特化作品。
特化作品ていうかね。もう映像を流して、その映像のBGM的にストーリーがあるという作品。
ストーリーは完全に添え物。空海と白楽天が延々と喋っているだけにすぎません。
まあわたしは原作者の作風も保留つきですけれども……
「沙門空海」は読んだかなあ。まあとにかく「陰陽師」の
「ゆこう」
「ゆこう」
そういうことになった。
的な世界だと思っていただくとよろしいかと思う。
二人の男がグダグダ言いながら進めていく話なわけやね。
映画にするんならもう少し話のいじりようがあったと思うんだけどね。
まあでも下手に話を多少まともにして映像的にグレードが落ちるよりも、
話はなんだかわからないけれども、とにかく映像が素晴らしいという作品になっているんだから、
それはそれでいい。久々に中国作品を見たが、前に見た中国映画もけっこうみな同様です。
「グリーン・デスティニー」とか「女帝」も、セットは素晴らしいんだが話はオカシイんだよね。
しかしとにかく映像が素晴らしい!
花の長安は大好物だ。歴史的中国建築がどーんどーんと並んでいるのを見るだけでアドレナリンが。
あああ~。素敵~~~。
あれって、どこからどこまでがロケで、どこからがセットで、どこからがCGなの?
ううっ。パンフレットを買うべきだろうか。
また小道具も豪華。衣装も豪華。なーんで中国ものはここまで金をかけられるのか。
日本で源氏物語が作られても、ここまでのセット、衣装、小道具は全然作れないよ。
胡服の踊り子の衣装なんて素敵だったなあ。回旋舞踏ですな。
もうセットは何から何まで素敵で、細かく言えないほど。市場の雑踏も、王宮の広大さも、
妓楼の煌びやかさも、うっとり。もうこれだけでこの映画はいい。眼福。
あんなきれいな仏像があるところなら、大青龍寺へ行ってみたいと思った。
……そして何しろこれらを見せるために、空海と白楽天は歩く歩く歩く。
何もそんなに歩き続けなくてもいいんじゃないかと思うくらいにひたすら歩いていた。
役者さんはお疲れ様だったと思います。
映像を褒めたたえ、もうそれだけで十分。なのであとは蛇足だが、
(しかし褒めるのって、けっこう大雑把にしか表現できませんね。けなすところは躍起になって
具体的に指摘するのに。)
空海でなんで副題が王妃の謎?と疑問だった。しかもこの王妃って楊貴妃のことなんて。
だって空海と楊貴妃って時代が違いますやん。
しかも皇帝の貴妃=王妃というのは全然違うと思う。美しき妃の謎、ならまあ何とか。
話の運びは全然ダメだけれど、楊貴妃の死の真相、そしてそこにまつわる白龍?丹龍?
(どっちがどっちか区別がついていない)の純情という骨子は切なくて良かった。
まあ日本では楊貴妃の死は全く謎として設定されてないけどね。
そしてわたしは見ていて、高力士と安禄山が別人であることに気づいて愕然とした。
いや、高力士が縊り殺したんだから、別人であることは知ってた筈なのよ。
でも多分力士という名に引きずられて、→恰幅のいいお相撲さんみたいな人→腹の中には赤心のみ
→安禄山という風にくっついてしまったんだろう。
安禄山が別に出て来た時には、ああ、そうだった!とびっくりした。
ちょっと玄宗に貫禄がなかったと思いませんか。
痩せても枯れても盛唐の大皇帝ですよ。もっと威厳があったはずだと思うのだが。
最初に呪われて死んだ皇帝なんかも扱いがひどかったよね。
あんな狭いところであっさり死んじゃっていいの?
しかも空海、呼ばれてきてあんなに無防備に皇帝に近づいていいの?
お医者さんだってもっと厳重に監視された上で診察していた筈だ。
「法師」っていう呼びかけも変だなあ。法師は官位じゃないし。もう少し言いようがあった気が。
突然阿部仲麻呂が出て来たのが笑える。まあこれも原作でどうなっているか知らないけど、
日中合作映画ということにしたいがために、角川がむりやりねじ込んだ感がある。
玄宗は阿部仲麻呂を気に入っていたという話だけど、それでもあの時あの場所で
一部始終を見ていたという立場ではないですよ。
文句をつける部分は山のようにあると思う。
しかしそれでも映像が美しい作品として、佳品。
……が、中国歴史セットにそこまで興味のない向きは見てはいけません。
多分時間の無駄と感じると思う。

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