絶対音感――わたしは薄ぼんやりと「絵画における色彩感覚ごときものだろう」と思っていた。
この本、わりととっつきにくく始まって、絶対音感の定義がなされる前に話が先に進んでしまうので、
最相さん、まだ定義づけなされてませんよ。と思った。パステルナークなんて知らん人や。
最相葉月にしては珍しくポカなのかと。
だがもうしばらく読み進んでいった結果、“絶対音感”というのは完全な定義づけがなされていない、
まったくもって鵺のような存在だと知った。
この本1冊で「絶対音感とは何か」を探求していくんですね。
そうなんですか。知りませんでしたよ。そんなあやふやなものだとは。
wikiにも書いてあるように、狭義の絶対音感は音程の記憶能力ってことでいいんですよね。
高低の絶対音がとれる、音名が言えるってことで。
……となると、わたしが今まで薄ぼんやりと思っていた絶対音感とは相当に違う話になるなあ。
わたしはそれを「才能」だと思っていた。選ばれた少数の人が持つ生得のものだと。
モーツァルトが持つという、何かすごいもの。
しかし基本的に「音名がわかる」というだけだとね。
今までのイメージからして「……そんなもん?」と思ってしまうのは否めない。
神秘性すら感じていたのに。
そうじゃないんですね。練習である程度獲得できる「能力」なんですね。
まあそうですよね。「この音がド」ということはソルフェージュでやる基本で、
それを延長して行った先にあるのが「絶対音感」であるならば、神秘性というのはほぼない。
そしてそれは「感覚」というよりは「記憶力」の問題であろう。
音名がわかると採譜に便利。しかし普通の人は採譜まではしない。
一度聞いた音楽を正確に再現出来るそうだ。しかしそれはどのくらいまでの期間可能なのかな?
聞いた直後のみ、というならスゴイとまでは思えないし、
ずーっと何年も何十年もというなら、それはスゴイが、本人が音楽を楽しむことを阻害しそうだ。
聴く曲聴く曲、全てがどこかで聴いたことのあるメロディの繰り返しになりそうじゃないか。
それはツラそうだ。
実際、絶対音感を持つ人は音楽を聴く時に左脳が活発になるというデータがあるそうだ。
聞いた音と音名が強固に結びつき、一々瞬時に音名を判定しながら聴くことになる。
つまり“何も考えずに音楽を聴いてリラックスする”ということが出来にくい状態。
――それは邪魔くさいだろうなあ。
※※※※※※※※※※※※
あかん。ちょっと中断。
この1冊について語りたいことが色々でまとまらない。
半年後か一年後かに再度読んで、もう少しこなれた形になってから読書感想文を提出する。
今回の分は下書きってことで。
![]() 【楽天ブックスならいつでも送料無料】絶対音感 [ 最相葉月 ] |
コメント