キリスト教についての本は折にふれて多少は読んできていたが、
まあ若い頃は、かな。久々だ。
中世の、合理的な思考をする以前の時代の宗教書は面白いんだよね。
どうしてそういう考え方になる?とも思うし、妙に可愛いときもあるし、
古代日本の古拙な世界に通じるところもあるし、不思議面白いよ。
内容はキリスト教の聖人伝・キリストの生涯で、読むのはなかなか時間がかかるんだけど。
でも思っていたより読みやすかった。訳者に感謝。
内容は、最後の最後に書いてあったピラトのことが面白かった。
ピラトについて書かれたものは初めて読んだかもしれないなあ。
出典は外典らしいのだが、ピラトは王の私生児で、母のピュラ、その父のアトゥスの
名前をとってピラトゥスと名付けられたと。
3歳の時に王の元へ送られ、同い年の嫡子とともに平等に育てられていたが、
何をやっても嫡子に勝てないピラトは嫉妬と憎悪により彼を撲殺してしまった。
王はピラトの処遇を家臣に諮り、死罪になりそうになったけれども、
その代わりにローマ帝国への(殺されてもいい)人質として送られることになった。
ローマでは同じ境遇のフランス王の息子と友人になったけれども、
また相手の出来の良さに嫉妬して殺してしまった。
ここでさすがに死罪になるだろうと思うのだが、そうはならず、
ローマに服従していないポントゥス島の蛮族を支配する代官として送られることになった。
ポントゥス族はこれまでも再三、代官を殺して来たので、この時も
殺されてもいい代官として送られた。ひたすら送られる人だな。
しかし彼はその悪知恵によって蛮族を上手く治め、そこをヘロデ王に与しやすしと
見られてユダヤの総督として赴任することになったと。
わたしはピラトについては世論に押されてイエスの処刑命令を出さざるを得なかった
どっちかというと気の毒な人という印象を持っていたので、
こういう風に書かれているのを読んで新鮮だった。
中世やなあ、という感じ。公平な見方というものはなく、イエスを迫害した人は
地獄に落ちるべき大悪人。まあそうなるだろうけれども。
ページ数は550p、全4巻らしいのでのんびり読みますわ。
第2巻は半年後くらいに。
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