こないだ同じ著者の「美の旅人」を読んだ。それはスペインをめぐりながら絵画を見て、
それについての感想を書き連ねるというエッセイだった。
今回のこれはその続編で、フランス編。
前回のを読んだ時も思ったけれど、本自体が厚くて重い……
ページ数は意外に少なく400ページ超くらいなんだけど、版も大きめだし
写真の発色のために紙にちょっといい奴を使っているから、かなりかさばる。
わたしのように、小説以外は持ち歩いて読むタイプには辛いなあ。
そして内容も、あまり大したことない……。
まあね、絵画をめぐる旅をして、それを書いたエッセイに鮮やかなものはそれほどない。
わたしはそういうジャンルの本をそれなりに読んで来ていると思うけど、
すごく面白かった!というほどの本は思い出せないくらいだし。
書き手が専門家であればね。同じ“絵画をめぐる旅”でも、知識部分で為になることが多い。
しかし素人の場合は別に「へー」と思うような知識も書いてないわけだから、
あまり楽しく読めないんだなあ。
よほど文章が好みに合う場合は別だが。
しかも、この本の前から3分の2は、一体どうした?というくらい内容が適当。
話があっちこっち飛ぶ。思い付きだけで書いてるでしょ?
文章も適当。絶対出来上がった原稿を読み返してないよ。
よほど疲れていたのか、強行スケジュールだったのか、アルコールを飲み続けていたのか。
発表雑誌が週刊ポストなので手を抜いていたのか……。正解はいずこにありや。
気分的に舌打ちしながら読んでいたので、300ページを超えたあたりからの持ち直しには
あら、どうした?と思う。その後はだいたいまともです。
やっぱり特にあっと驚くようなことは書いていないんだけども、でも少なくとも読みながら、
「アルコールか疲れか精神状態か強行日程か単に手抜きか」
とひたすら考え続けることはなくなった。
まあ、でも本としてはがんばっているかな。
写真はいいよ。絵の写真もなるべく載せるようにしているようだし、
関連する風景を撮った写真も数多く、それがなかなか良かった。
302ページの「アンティーブの海」という風景写真なんか、しみじみ見入ってしまう味わい。
ただ、注が少し邪魔っけ。
注もねー、どこからどこまでつければいいかの取捨選択は難しいとは思うんだけど。
でもシェイクスピアとかダ・ヴィンチにまで注をつけてたらきりがないよ。
伊集院静の小説は読んだことがない。エッセイでこれだと、読んでみようという気も起らないなあ。
コメント
Unknown
うるさいよ、お前