12人の最初は中村好文。だから読んだんだけどね。
思ってたよりも文章量が多かったので読みでがあった。
扶桑社
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が、写真に不満があるなあ。ちょっと見にくかった。
こういう内容の本としては判型が小さめ――普通の本の大きさってことも影響したのか。
1ページを使うような写真はいいんだけど、見開き2ページで5,6枚並べるような場合、
写真の切れ目がどこか感覚的にわかりにくい。建築の写真は直線も多いし、
インテリアの色が似通っているし。
どこを撮っている写真か、というのもぱっと見でわかりにくいものが多かった。
わたしの空間把握能力が低いのかもしれないけど。
もう少し広角のレンズを使うべきじゃないかと思った。
中村好文を筆頭に置いて、さらに「手触りのいい家」と言ってるのだから、
もう少しわたし好みの家があるかと思ったけど、そうでもなかった気がする。
まあ、一軒一軒に割いているページ数はそれほど多いわけじゃないし、
素人が図面や写真からそうそう大したことを読み取れるわけがないけどね。
川口通正設計の「熱海・潭亭」のところどころが好きだな。
わたしはアイテムとして障子に期待しているので、夜、外から見た写真は素敵だと感じる。
あとお風呂は絶品だろうね、これ。天下取ったり!という感じだろうな。
それから、書斎の感じは好きだ。ただ、オカネに不自由してないなら、机の天板とか、
もう少しいいものを使ってもいいのではないかと思うけど(^_^;)。
横河健の「赤堤の家」は寝室へのアプローチがちょっと好み。
今時のバリアフリー住宅からは正反対の方向だけど、床の高さを変えることで
空間にアクセントをつけるっていうの、嫌いじゃないんだよ。
――経済・メンテナンスの部分を考えれば、どうしたって賛成できないんだけどさ。
この辺は個人的に好悪と理念が一致しない部分だ。
柿沼守利の「香住ヶ丘の舎」。これは内装の雰囲気が好き。
天井と壁が同色で、まったく分割もないとなると実に穴倉的になるな。
間取り的にはどうかなあ、と思うんだけど。
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それに対して、わたしがどうも賛成出来ないのは、
1.靴を履かないと部屋間を移動できない家
2.お風呂やトイレが素通しの家
3.階段部分の視線に配慮がされていない家
4.ガラスの箱
靴は、慣れれば別にいいのかなという気もする――でもそれだったら寝殿造の渡殿のような
渡り廊下を作って欲しいと思うけど。(メンテナンスが大変でしょうね)
しかしなぜトイレを素通しで作るのかね?これは作る建築家にも訊いてみたいし、
住人にもぜひ訊いてみたい。恥ずかしくない?家族だから平気ってものでもないと思うが。
風呂は百歩譲るとして、トイレ……。そんな家には遊びに行きたくもないぞ。
自分一人だって、トイレや風呂場が視界に入っているのは嫌だ。
階段部分というのは、敷地面積が狭い場合、往々にして抜けているタイプになるでしょ。
梯子をもう少し丈夫にしたような。
これ、スカートを履いた人が通る時のことを考えているのかな?
どう見てもこの位置関係では、上り下りの際に玄関や居間にいるお客さんに
スカートの中が見えるよなーっていうのもけっこうあった気がする。
こういうのって大きな欠陥だと思うけど。
ガラスの箱はほんとに苦手。はっきり言って恐怖を感じる。
この本で言えば、横河健の「上毛野の家」はほんとに恐ろしいよ。
まだ隣家や道路から見えないっていうのなら千歩譲ってユルせるが、
写真を見る限りお隣近所から丸見えだあ!もうこんなの見ただけで眩暈がしそうだ。
……もしかして、わたしは前世で動物園のシロクマだったのかもしれない。
だから他人の視線にさらされることに恐怖を感じるのかも。
住宅の場合は住んでいる人が満足なら、どんなに奇天烈な建物でも正解だけどね。
でもやっぱり、わたしは普通の家がいいなあ……
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