イギリス王室は、美術関係のコレクションもそれなりに持っている。
とはいえ、巨大ミュージアムがこれでもか!と立ち並ぶロンドンだから、
実はここ、わざわざ行くほどのラインナップではない。収蔵品少ないし。
もっともっと質量共に凄いのが、ナショナル・ギャラリーやらV&Aやらで
タダで(出来ればなにがしかの寄付金は入れた方が良い)見られるわけだから。
よほどの物好き以外は、そちらに行った方が絶対に良い。
クイーンズギャラリーの展示室は3部屋か4部屋。狭い。
人もそれなりにいるので、ごちゃごちゃした感は否めない。これで2000円の入場料は高いな。
イタリア絵画のエキシビと聞いて、すぐに名前があがるような画家はほとんどなかった。
少なくともわたしが知っている画家はいない。やはり王室とは言え所詮は個人コレクションなのか。
その中で非常に良かったのが、パルミジャニーノの「パラス・アテナ」。
この人はいつも首の長い女性像を描くけれど、この「パラス・アテナ」は俯いた所を
やや上から描いているので、首長もあまり目立たない。
それに構図が一般的なバストショットの女性像のせいか、実に普通……。
この人の絵を見ると、いつも異様な感じが付きまとうのだが、これは描かれた女性の可愛らしさが
素直に受け取れた。何枚もの絵がかけられている壁の中で、これが出色。
一枚だけ光って見えた。
……が、なぜこれがパラス・アテナ?という疑問はある。一応鎧を着込んでいるようだが、
その上に緑色の布をまとっているので、普通の衣装の装飾に見えるし。
女性そのものにアテナっぽいところなど欠片もない。むしろ儚い憂い顔の印象さえある。
ギリシャ神話を主題にして描くことも少ないはずなのに。なぜアテナなのか。謎。
他にはティツィアーノの男性肖像が目に留まったが、これは詳細は忘れてしまった。
写真撮影禁止だし、絵葉書も売ってなかったし。やはり記憶だけでは覚えていられません。
それから、絵の印象としてはすでにだいぶ弱いんだけど、カルロ・ドルチの「サロメ」と
クリストファロ・アローリの「ホロフェルネスの首を持つユディト」も気に入ったらしい。
(手元に絵葉書がある=気に入ったということだから)
この二人の画家は初耳。ルネサンス好きのわたしの興味からすればだいぶ時代が下がる。
基本的にはきれいな絵は好きなんだけど、この頃の絵はきれいなだけの絵になってきているので
今ひとつつまらない。(と言いつつ、きれいなので好き。……複雑。)
わたしはどうもサロメのモチーフが好きらしく、よく目にとまる。
ルイーニの「ヘロディア」も(これサロメだろう)印象に残っているし。
考えてみれば「ユディト」もタイトルが違うだけで、やっぱり女が男の首を持っている絵なんだよね。
……深層心理的に何かがあるのか?
あとはファベルジェの宝石細工。
ずっと前、テレビでファベルジェの特集番組を見たことがあって、それ以来気になっている。
ニューヨークのフォーブズ美術館でイースターエッグを見たことがあるが、きれいだった。すごく好き。
(テレビで見たイースターエッグの方がちゃんと動いてすごかったけれども)
何しろ、宝石で・可愛くて・仕掛けで面白いんだから。
目を驚かすものに出会えるのは数少ないだけに、幸福なことだ。
ファベルジェという人には興味を持つ。その細工師の部分に。
商売的に成功したのは確かだけど、彼の本質は、きっと細工師の部分にあったのだろうなと思って。
何かそのうち、読んでみよう。
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