【悪くない映画だとは思うんだけど……(涙)】
とある映画感想サイトでものすごい絶賛の嵐だったので、興味を引かれ、見てみようかと思った。
だがそのサイトでは、絶賛が行き過ぎて、非絶賛派に対する人格攻撃まで始まってしまった。
言葉強くけなしている感想に対してはもちろんのこと、「自分にはちょっと合わない」程度の
感想にも何かとウルサイことを言う始末で……。おかげで、この映画そのものに対する
イメージが非常に悪くなった。あー、残念だ残念だ。こういう映画なら素直に見たかったなあ。
上記のような事情により、非常に分析的に見ることになってしまった。
……こういう映画はね、ノレるかノレないかが全て。ノレなきゃそこでお終い。
分析的に見ていると、まあだいたい、ノレません。映画の世界に入り込むのではなく、
その世界を一歩引いて眺めているスタンスなわけだから。
もちろん、そのスタンスで「良い映画だ」と感じる作品はいくらでもある。いわゆる「上手い」と
思わせる作品。でも、この「always~」は、上手いというのとは違うものなあ。
主役は昭和30年代の町。登場人物は全員脇役である。戦後13年の「雰囲気」のための映画。
たしかに、ものすごく真摯に作っていると思う。愛情も感じる。こういうのは作り手の愛情が
全体の7割を決定する類のもので、その部分は非常に評価したい。監督もリアルタイムでこの時代を
知っている人ではなく、それだけに憧れ多き情景になった。それはそれでロマンチック。
ただ、だからといって、それを好きになれるかは別。
わたしは「ようがんばったな~」とは思いつつ、あの雰囲気が琴線に触れることはなかった。
いや、嫌いではない。ちょっとあざといほど作りこんだ印象はあるけれど。
でも心に来ない。別に懐かしくは感じない。
懐古趣味を自認するわたしとしては、自分でも意外なほど。
幼い頃に「サザエさん」あたりを熟読してたもんだから、新味を感じなかったせいかもしれないなあ。
時代設定的には、多分同じ頃のこと。氷の冷蔵庫もサザエさんで出てきたし。テレビをみんなで
見る、というのもありそう。メインであるべきこういう部分が素通りだと、この映画の魅力は半減する。
丁寧に作ってあって、VFX(CGとは違うのか?)も良くて、話も気持ち良い。
でも話の短編感がどうしても消えない。
わたしはどうせ作るなら、映画を短編の連続で作っては欲しくない方なので。
まあ原作が短編だから、短編感は仕方のないところだろうし、監督もそこが難しかったと言っている。
努力は感じる。健闘はしたと思う。こういう映画があってもいいとは思う。
が、分析的に見た感想は結局、「ちょっと、弱い」。
まあ、あの情景を作れたのは映画だからこそだとは思うから、ドラマで良かったのでは?とは言わないが。
泣ける泣ける、という評判で、わたしも泣かなかったわけではないんだけど、
でもわたしは普段から、予告編だけでも充分泣けるほど涙もろいので(^_^;)。
そういうことを勘案すると、今回の泣け具合は40%(当社比)くらいかな?
つまり普段より、相対的に泣けなかった部類。
キャラクターはみな良かった。
堤真一の暴力父ちゃんはハマリすき。ああいう役がハマるとは思わなかったなあ。
怪獣化した時の演技と効果は拍手。普通あそこでワイヤーアクションを使うかい(^o^)。凝ったなあ。
薬師丸さんも、ああいう「おかあちゃん」をするようになったんですねー。感慨深いわ。
六ちゃんも、最初の上京シーンではどうなることかと思ったが、段々見慣れた。可愛い。
流行に敏感なタバコやのおばあちゃんも、悲しみを漂わせながら生きる宅間先生も、生きてた。
ああ、でも吉岡秀隆はいまいちだったなー。
基本的に、ベタな演技はキライじゃない方なのだが……。
この人の演技を見たのは初かもしれないが、もしかして”吉岡秀隆”しか出来ない人?
そして疑問1。どうして、
茶川竜之介
古行淳之介
古行和子
川渕康成
なんだろう?
鈴木オートの方は、ごくごく大衆的な名前なのに。
で、茶川さん関連では、石崎ヒロミだけ普通の名前。なぜなのだ?
疑問2。
セーターの継ぎに紙幣を入れておいたようだが、洗濯の時はどういう扱いになるんでしょう?
実際行われていたことなのだろうか。セーターだって、子供は汚すから、1シーズンに4,5回は
洗濯するだろうし。その度に中身を取るのかな?だとしたら大変だなあ。
一緒に入っているメモとか、洗濯したらドロドロだろうし。経験者に聞いてみたい。
コメント
確かに。
日本映画大作お得意のセオリー通りに作っちゃいましたね。原作を初期から読んでるものにとっては予想通りというか、いかにもの水増し脚本ですね。いやらしい考え方をしてみれば配給会社上層部のおかげで脚本もそーとー歪められたと勘ぐってしまいます。原作は元々は短編なのですから伊丹十三の『お葬式』のような流れで淡々と進行させれば成立するはずなのです。無理からに作り手の事情でお涙ちょうだいに持っていかれてもこちらにはこちらの気持ちの準備っていうものがあるのですからグッとなんか来ませんよね。
※疑問2の件ですが原作ではかくれんぼをして迷子になるという設定を絞った状況の中だから成立する事ですので確かに?マークがアタマに浮かびますね。
Unknown
原作ファンにはツライ出来でしたか。わたしは読んだことがないのですが、想像するに、映画にはしにくい作品ではないかと思いましたよ。空気感、が大事だろうからなあ。その部分は人によって捉え方がだいぶ違うだろうし。
イメージとしては、「となりの山田くん」+小津「東京物語」あたりであるべきでしたか?例に出すのに「となりの山田くん」はちょっときついかもしれないけど(^_^;)。
少なくともそのスタイルの部分は。
日本映画のセオリーがどういったものかは知りませんが、最近、本でも何でも「泣ける」ばっかりが売れている気がして残念ですね。そういう系統の映画は食わず嫌いで、見ていません。まあ、そういうのと、この作品は、ちょっと違う位置づけにはしたいんだけれども……
この作品に、わたしは、一応作り手の愛情は感じますからねえ。グッとこないわけでもないし。……しかし多少安っぽいかなー、と思う部分が……気にはなります。
もう少し、創造力の部分を見せて欲しいというか。そういう部分で感心したいんです。