◇読んだ本の感想。

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◇ 山之口洋「オルガニスト」

2年くらい前から、日本ファンタジーノベル大賞と優秀賞を新しいものから順次遡って読んでいる。これは1998年の大賞作。帯の惹句は「バロック・ミステリー」。ただし正直なところ、ミステリーを期待してはいけない。いわゆるミステリーでは全くないから。...
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◇ オンダーチェ「イギリス人の患者」

全米ベストセラー作品。ベストセラーにしてはヘナチョコじゃない。……と言ったら各方面から石が飛んでくるか。米国の読者層は日本ほど幼稚じゃないということか。……もっと石が飛んでくるか。しかし最初は映画のイメージが邪魔して読むのが辛かった。映画は...
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◇ 宮本輝「青が散る」

宮本輝は、けっこう期待感を持って読んだのだが……物足りなかったな。「わたしたちが好きだったこと」「彗星物語」「青が散る」と3作読んだ。読ませるの上手いんだけど、テクニックで読ませている感じ。こういう風に話を持って行けばOKと知っているような...
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◇ 大江健三郎「洪水はわが魂に及び」

大江健三郎。「ピンチランナー調書」を皮切りに7冊読んだ。今回の「洪水はわが魂に及び」でひとまず終了。7冊の中で、何が書いてあるかを一応納得しながら読めたのは「取り替え子(チェンジリング)」と「万延元年のフットボール」くらい。あとは、何が書き...
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◇ 辻邦生全集17 (付・小林秀雄全集)

内容について特に言うことはない。いつもと同様というか。これは全集のうちの1冊で、特に旅関係のエッセイを集めたものなんだけど、……とにかくまあ、こんなに旅が出来てうらやましいやねえ。「今年は旅に明け暮れた」とか「何月はどこで何月はどこ、何月は...
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◇ COCO「今日の早川さん」

(基本前提・その1)わたしはブログ本はあまり評価しない。ブログが本という形式をとるべきではないと思うからだ。ブログというメディアと、書籍というメディア。本来の媒体が違うんだから、相応しい内容というものがそれぞれにあるはずで、書き手もそれを念...
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◇ 立花隆「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」

主題である本紹介は、普通に面白く読めた。わたしも時々この類を読むけど他書と比べて1冊あたりの言及文字数が少なく、わりにざくざく書いているのがむしろ幸いして読んでみようかと思わせる。リスト入りしたのを数えてみれば14冊。本人も序で言及している...
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◇ 宇月原晴明「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」

共時性というのは面白いもので。本を読んでいると時々起こる。文字が文字を呼んだ気がして、その魔法的感覚が愉しい。この本を読む直前に読んでいたのが、澁澤龍彦「異端の肖像」。これはタイトル通り、異端の人物についてのエッセイ集なんだけれども、そのな...
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◇ 高野史緒「アイオーン」

以前「ムジカ・マキーナ」を読んだ時はパラレルと書いたけれども、この本の裏表紙に歴史改変小説とあって、この方がピンと来た。今回のこれも、舞台は中世でしかし最終戦争後という設定。ありがちではあるけれど、技術文明が遺物になっている世界の話。薀蓄の...
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◇ 素樹文生「上海の西、デリーの東」

この本は、だいぶ以前に本屋で平積みになっている時から気になっていた。タイトルがけっこう決まっているじゃないですか。が、このツキすぎ感の漂うタイトルのせいで、どうせ「深夜特急」路線だろう、というイメージがあったのは事実。実際に読んで見ると、「...