◇読んだ本の感想。

◇読んだ本の感想。

◇ 帚木蓬生「国銅 上下」

いや、面白かったです。レベルAをつけちゃったよ。このレベルAとは何かというと、――わたしは書評家の成績表をつけておりましてね。今まで全く視野に入っていなかった作品を「読もうか」という気にさせてくれた場合、課題図書リストに、その作品名と共に、...
◇読んだ本の感想。

◇ 鹿島茂「成功する読書日記」

著者はフランス文学者。そして多分、古書収集人。彼の著作はこれが2冊目で、あまりよく知らないんです。タイトルからして、読書日記の書き方指南かと思っていたら、その部分も多少はあるにせよ、大部分は普通の書評本。うーん、ちょっとねえ。詐欺ではないけ...
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◇ 嬉しい!!

大変嬉しいことがありました。何と、辻邦生「春の戴冠」が文庫化!おそらくないだろうと諦めていたのに!でかしたぞ、中公文庫!1冊1000円で、文庫として個人的には許せない値段だが、今回に限ってはどうでもいい!どうもありがとう!新聞で文庫化したと...
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◇ ホセ・カルロス・ソモサ「イデアの洞窟」

だからメタ・フィクションなんて嫌いなんだーっ!!……と叫ぶことになるかと思いながら読んだら、なかなか面白かった。空腹は最良のソース、という言い方と同じ意味で、物事を楽しむためには「期待をしない」というのが最良の方法なのだろうか。それもつまん...
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◇ ニコス・カザンザキス「その男ゾルバ」

語感は大事だ。早い話、このタイトルでは、わたしの食指は動かない。ぱっと見、どうしても「スパイ・ゾルゲ」を思い出して、ハードボイルド系か?との連想が働く。まあ、この機会に読みましたけどね。最初は読む予定はなかったんだけれども、「その男ゾルバ」...
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◇ 山本兼一「火天の城」

名前を聞いたことのない作家だったし、タイトルも暑っ苦しい感じだったので、信長が前面に出された紹介文だったらリストに入れなかっただろう。信長という人物自体はどちらかといえば好きなんだけど、小説で描かれる信長は、もう相当に手垢がついてしまってい...
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◇ 高橋治「紺青の鈴」

惜しい。全く惜しい。初高橋作品「星の衣」から数えて、この本で小説としては4冊目なんだけど、読むたびにいつも惜しいと思う。もうちょっとなのにな。この人は日本の伝統分野について書く。例えば沖縄の織物や長良川の鵜飼、おわら風の盆、九谷焼など。調べ...
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◇ 有吉佐和子「悪女について」

リストアップした時点では、フィクションだってことを知っていたはずなのに、ずっとタイトルだけを眺めて暮らすうち、すっかりエッセイだと思いこんでしまっていた。ページをめくって初めて、やばい、小説だと気付く。1ページ目の字面が何となく鬼門っぽい。...
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◇ 島本理生「ナラタージュ」

とてもとてもとても上手いと思う。描写が丹念で繊細。血肉を持ったという方向のリアリティではないけれど、こういう人は現実にもいると思える登場人物。話の流れも1、2個所を除いてはみな自然。一つ一つのエピソードに意味を感じられる。人と人の存在。それ...
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◇ 小風さち「倫敦厩舎日記(ロンドン・ステイプル・ダイアリー)」

図書館で検索すると、どうも著者は絵本作家らしい。その事実とタイトルから、「ありがちな短期滞在記なんだろうな。昔、馬小屋だったとかで、住所にmewとかmeadowとか付く場所があるそうだから、著者はそういう住所に住んでたんだろうな」と決めてか...