◇読んだ本の感想。

◇読んだ本の感想。

◇ 矢島翠「ヴェネツィア暮し」

これは池澤推薦。なんと!池澤推薦本30冊目にして初のレベル7!最高評価!「ゆっくりと読んで本当に楽しい」というのは、以前池澤が富士川義之の書評本について言っていた言葉だが、わたしにとってはこの本がまさに「ゆっくりと読んで本当に楽しい」本でし...
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◇ ロバート・R・マキャモン「少年時代」

これは、前文が反則である。こんな風に書かれてしまうと、我ら架空の王国の住人はそれだけでノセられてしまって、作品自体への見る目が曇る。まあでもフィクションなんて騙されてなんぼの世界だから、別にいいのか、曇らされても。曇った目でも愛せればその方...
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◇ カズオ・イシグロ「浮世の画家」

カズオ・イシグロの最初期に位置する作品。読む前は、彼にとって日本を定義づける作品だと勝手に決めていたのだが、どうもそういうものではなさそうだ。また何だか奥歯に物が挟まったような書き方を……と思いながら読み進む。一人称なんだけれども、言葉のは...
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◇ 米原万里「オリガ・モリソヴナの反語法」

著者は2006年に56歳で死亡した。聞いた時はその若い死を惜しんだし、もちろんご遺族は長生きを願っただろうが、この本を読み終わった今は、――この本を残した彼女の人生には意味があったと思う。この本の前に、「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」という...
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◇ 歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」

これは以前、けっこう世間で評価が高く、名前だけは知っていた作品。「このミス」とか、その他各賞を軒並み受賞したらしい。読み終わって、まあね。という感想。特に腹立たしさもないが、それほどの面白さもなく、淡々とちょっと飛ばし気味に読み、それで終わ...
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◇ 村上春樹「レキシントンの幽霊」

キライだキライだと言い続けている村上春樹の短編集。これは、トヨザキさんと池澤夏樹が褒めていた。彼らが褒めていたから言うのではないが、この本はまあまあイケるかな。多分わたしは、村上春樹の「主人公への甘やかし」がすごく嫌いなんだよね。「どんだけ...
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◇ 宮田珠己「晴れた日は巨大仏を見に」

まーこういう本はありがちだよねー。旅先の微妙にヘンなモノに目をつけて、それをノンキに書きつづるってのはさー。……と呑んでかかっていたわりに、けっこう面白く読めた。予想通りのノンキな旅行記ではあったのだが、安易な賑やかしに走らなかったというか...
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◇ ストウ「アンクル・トムの小屋」

人生初アンクル・トム。子供向けバージョンでも読んだことがなかったので、読むに当たっては少々悩んだ。今更子供向けのものを読んでも仕方がない。だが大人向けのバージョンで620ページの新訳は、そりゃ詳しく書いてあるんだろうけど、そこまで時間をかけ...
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◇ 平出 隆「白球礼讃 ベースボールよ永遠に」

読みながらずっと微笑っていた。時々泣いていた。地下鉄の中で、お昼時のサイゼリアで、さらにまた帰りの地下鉄の中で。大好きなことを、達者な人が好きなように書いて、面白くならないわけがないのだ。平出隆は野球を愛している。この愛をこんな風に書けるの...
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◇ 秋山瑞人「猫の地球儀 焔(ほむら)の章 幽(かすか)の章」(全2巻)

この本を読もうと思ったのは大森望によるSFベスト30に入っていたからだが、電撃文庫刊と知ってかなり怯む。だってラノベじゃないですか。初期ラノベには玉石混淆で良いのもあったけど、悪い意味で花盛りになってからのラノベには偏見がある。電撃文庫は名...