◇読んだ本の感想。

◇読んだ本の感想。

◇ トーマス・マン「トニオ・クレーゲル/ヴェニスに死す」

はるか昔に、テレビで「ヴェニスに死す」の映画を見た。今に残るイメージで言えば、ものすごいかったるい映画でした。時間も長かった気がする。その印象で長大な小説を想像していたのだが、「トニオ・クレーゲル」と「ヴェニスに死す」の2編で文庫本200ペ...
◇読んだ本の感想。

◇ アンリ・ド・レニエ「ヴェネチア風物詩」

本題の前に。わたしの感覚では、表記が“ヴェネチア”だと舌足らずな気がするのだが。せっかくなら“ヴェネツィア”と書いて欲しい。※※※※※※※※※※※※この作品は、言うなれば、――ヴェネツィアに対するのぼせあがった恋文。で、言いつくせると思うの...
◇読んだ本の感想。

◇ フォースター「眺めのいい部屋」

恋愛小説はほとんど読まない。(と思う。)今まで読んだ恋愛小説で一番好きな作品といえば「ジェイン・エア」。(だと思う。)なので、本作も雰囲気的には自分向きの小説だと思って読み始めたのだが……まあまあ面白かった。だが、やっぱり50年違うと小説の...
◇読んだ本の感想。

◇ リリー・フランキー「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」

わたしが何かを書くとしたら、どーせ小賢しく“小説としては”なんて言いだすから、感想は割愛。そんなん書いても意味がない。この作品に対しては。言えることはたった一つ。「いいお母さんを持ったんだね」ということ。東京タワー ~オカンとボクと、時々、...
◇読んだ本の感想。

◇ 越谷オサム「階段途中のビッグ・ノイズ」

前作「ボーナス・トラック」もブログに書いたはずだが……と思って検索してもなかなか出てこない。gooブログは検索機能がおかしい。記事タイトルが検索対象じゃないってヒドくないか。何回かトライして、ようやく見つけた。「ボーナス・トラック」は日本フ...
◇読んだ本の感想。

◇ マリーア・ベロンチ「ルネサンスの華 イザベッラ・デステの愛と生涯 上下」

著者を責めるべきか、訳者を責めるべきか。全体的に、面白いことは面白かった。が、乗り越えられない部分が二点。まず一点目は(というのは、大学時代の憲法学の教授の口癖だったなあ)、どこで、誰が、何をしているのかがよくわからないこと。特に最初の方に...
◇読んだ本の感想。

◇ 恩田 陸「夜のピクニック」

ちょっと語っていいですか。うちの高校には強歩大会という行事があった。歩く距離は30キロくらい。平均より若干早いわたしの場合で、ほぼ5時間かかったと思う。朝8時に学校を出発する。山の中腹にある高校だったから、その山を下まで降り、広瀬川沿いを上...
◇読んだ本の感想。

◇ フォークナー「八月の光」

ツラかった……。そもそもわたしが何故こんな似合わないもんを読んでいるかというと、数年前、何だかの本を読んでいて、「なんでアメリカ文学はこういう、ドライでビターなもんばっかりなんだろう?」という疑問を抱いたことに始まる。いや、“もんばっかり”...
◇読んだ本の感想。

◇ 井上ひさし「ボローニャ紀行」

この間亡くなった遅筆堂さん。この人が外国に旅行するイメージが全くなかったので、このタイトルを見た時、「……ほ?」と思った。なんで井上ひさしがボローニャなんだろう。ま、その疑問はこの本を読んでもあんまり解決されない。彼は長年、なんだかえらく熱...
◇読んだ本の感想。

◇ ジェフリー・フォード「緑のヴェール」

さて……文句を言うべきか言わざるべきか。標準レベルは軽くクリアしている面白さ。ストーリーの骨格はいかにもSFなのに、SFに、ともするとつきまとう安っぽさ(自分がこんな風に言うのは切ないが……)がない。やはり文章がちゃんとしている分、厚みがあ...