◇読んだ本の感想。

◇読んだ本の感想。

◇ スタインベック「怒りの葡萄」

おれはこんな本を読みたくなかっただ。いや、この本がくだらねえといってるわけではねえ。これは立派な、たしかな本だ。だが痛え本だ。つれえ本だ。読んでるとつらくなるだ。人間は二つ、種類があるだ。強えのと弱えの。強え人間はこういう本を真正面から読め...
◇読んだ本の感想。

◇ 恩田陸「球形の季節」

あまり語るべきことは多くはない。唯一言いたいことは、これはいわば「遠野物語」の遠い子孫だということ。この人の作品は4作目か。本作の道具立てはかなり「六番目の小夜子」を思い出させますな。高校・噂・噂に操られる人々・事件。この人はとにかく噂が好...
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◇ カズオ・イシグロ「わたしたちが孤児だったころ」

この話、結末はもしかして夢落ちで終わるのでは?と思いながら読んでいた。だって話が不自然だよね。なんで主人公が探偵なのか。探偵が出てくるような話ではないはずだが。なんで20年も経ってから行方不明の両親を探す?そしてなぜ生きていると思える?主人...
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◇ 塩野七生「海の都の物語 下」

上巻巻末の高坂正尭という人の解説によれば、上巻はヴェネツィアの「成功の物語」、下巻は「輝かしき苦闘の物語」らしい。たしかに下巻は上巻に比べて出来事を書く割合が減り、状況の説明が増える。その社会の活きの良さは物事がいかに躍動するかによる。つま...
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◇ 塩野七生「海の都の物語 上」

ひと頃は塩野七生を追っかけていたので、「ローマ人の物語」以前の文庫本はおそらくほとんど持っている。これも我が蔵書。何年ぶりかで読み返した。……しかしその前に「ローマ人の物語」についてモンクを言っときたい。前にも言った気がするけど。なぜ文庫版...
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◇ 和田忠彦「ヴェネツィア 水の夢」

著者はイタリア文学者。訳書も多い。イタロ・カルヴィーノの「パロマー」もこの人か。あんまり覚えてないけども。この本は、過去関わりのあったイタリアの作家・詩人たちを中心に描いたエッセイ。衒いを感じるが好きだ。好きだが衒いを感じる。――どちらなの...
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◇ スティーブン・ジェイ・グールド「パンダの親指」上下

池澤推薦。曰く「生物学の本を読むならまずグールド」。……無理だと思うんだけどな、わたしは。これを“まず”として、いわば入門書として推薦するのは。グールド1冊目として「嵐のなかのハリネズミ」を読んだ。――衝撃的にわからない。これだけわからない...
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◇ ヘミングウェイ「日はまた昇る」

読み始めて、内容とは関係ないところで驚いた。新潮文庫、いつの間にこんなに活字をでかくしたんだ、と。新潮文庫と言えば岩波の次くらいに活字が小さいイメージがあったのに。わたしは大きめの活字が好きなので嬉しい。……もっとも、新潮文庫のラインナップ...
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◇ 恩田陸「Q&A」

怖い話らしい、という情報はあった。コワイの苦手だが読めるだろうか。でもインタビューで語られていく話ということも聞いていたので、少なくともグロテスク系の話ではないだろうと。ちょっとドキドキ。読み終わって。……そうか、こういう怖さか……。今まで...
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◇ 松田哲夫「編集狂時代」

この本は我が蔵書。基本、このブログに書くのは備忘録の側面が強いので、蔵書はあまり積極的に取り上げないのだが、これについてはちょっと言っときたい。わたしはずっと松田哲夫を、ラッキーな人だと思って来た。まあ、わたしにとっては彼は刺身のツマだから...