◇読んだ本の感想。

◇読んだ本の感想。

◇ 小林恭二「宇田川心中」

タイトル的に歌舞伎、浄瑠璃だなあと思ったら、まさにザ・歌舞伎な小説でした。考えてみればここまで歌舞伎的な小説は珍しいかもしれない。この人、歌舞伎好きだもんね。いろいろ手引き的なものも書いてるし。逆にいえば、単なる時代小説のつもりで読むと、読...
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◇ 宮田珠己「旅はときどき奇妙な匂いがする」

脱力系エッセイストとしてわたしがイチオシする宮田珠己だが、文章の雰囲気通りに、のほほんと生きているだけではなかった。当時、……いつの時点の当時かは不明だが、珍病に苦しんでいたらしい。珍病と茶化したが、理由がわからず突然足が痛くなるというのは...
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◇ 水村美苗「私小説 from the left to right」

水村美苗を最初に知ったのはある種のミーハーとして。辻邦生との対談本「手紙、栞をそえて」……あ、対談本じゃなかった。書簡集か。辻邦生の晩年近く。水村美苗が頬を赤らめたファンに見えて仕方なかった。まあ単なるファンにしか見えなかったら、作品を読も...
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◇ 辻由美「若き祖父と老いた孫の物語 東京・ストラスブール・マルセイユ」

タイトルからもしかしてフィクションなのか?と思ったが、この人は翻訳家であり、ノンフィクション作家なので、そんなわけはなく、この本もノンフィクション。若い頃日本にお雇い外国人として滞在した祖父の遺品を、80歳になってから家の奥から発掘した孫の...
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◇ ティム・オブライエン「世界のすべての七月」

タイトルが素敵だな、と思って課題図書リストに入れたんだけど、実際に読む順番が廻って来て詳細を見ると、訳者が村上春樹。……これは多分嫌いだろうなあ。村上春樹が嫌いなわたしは最初からあきらめていて、予想通り嫌いだった。こういう辛い話は嫌なんだよ...
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◇ ジュマーク・ハイウォーター「滅びの符合 太陽の帝国アステカの終焉」

もっと違う物語を読みたかったというのが正直なところ。アステカってけっこう一般受けがいい素材ですよね?近隣のミュージアムでエキシビも何回かやっているし、時々テレビで特番もある。そのわりには、そういえば滅亡の時の話はあまり知らないなと思ったんだ...
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◇ ジョナサン・ハリス「ビザンツ帝国 生存戦略の一千年」

歴史上、さまざまな国はあれどビザンティン帝国と神聖ローマ帝国はなんだかもやもやとしてさっぱりわからないんだよなあ……。と、言おうと思ったが、わたしがさっぱりわからないのはその二つだけに限らず、世界のほとんどの国はわからないのであった。実は本...
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◇ 小林恭二「麻布怪談」

小林恭二の小説は基本的に「わたしはけっこう面白いけれども、万人が面白いタイプではないだろうなあ……」と思う。でもこれはわりと普通の面白さ。しかしこれが1冊目だと、その癖のなさで逆にそんなに訴求しないかな。わたしの1冊目は「ゼウスガーデン衰亡...
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◇ 柳広司「饗宴(シュンポシオン) ソクラテス最後の事件」

柳広司はこれで2冊目。前回の「百万のマルコ」も面白かったので期待していた。そしたらねー。なんとこれも面白かったんですよ!期待していて期待に応えるほど面白い作品というのはなかなかありません。この人、歴史を上手く使ってるねー。いうても前回のマル...
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◇ ダニイル・ハルムス「ヌイピルシテェート」

シュールな作風、と戦々恐々としながら読んでみた「ハルムスの小さな船」が、挿絵と相まってけっこう読みやすく面白かったので、次の一作も読んでみた。今回のこの本は挿絵なし。挿絵欲しかったなー。数ページに1枚でいいから。装丁は鮮やかな黄色と紫のスト...