◇読んだ本の感想。

◇読んだ本の感想。

◇ 宮崎市定「雍正帝」

宮崎市定は蔵書数冊。若い頃に買った。そういう意味で信頼感はあったけれども、こんなに面白いとは意外だった。そもそも雍正帝が面白いんだよね。笑えるという意味でも。この人は名君とされる康熙帝と乾隆帝の間の帝王として地味だけれども、けっこうな名君ら...
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◇ 池上永一「海神の島」

前回読んだ「ヒストリア」ほど大きな話ではなかったかな。わたしはこの作品が、沖縄に真正面から取り組むザ・沖縄の話になるのではないかと予想していたよ。タイトルもそれっぽかったし。読んでみたらそこまでではなかったかね。でも面白かった。しっかり者で...
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◇ 辻由美「読書教育 フランスの活気ある現場から」

この人はフランス語への翻訳家・著述家。「面白いなあ」と思い、エッセイはその後つぶしました。エッセイはこれで最後かな。これが2008年の本で、それ以後が訳書だけ。この人はフランス語から日本語の訳者だから、フランスの事情に詳しいんだよね。わたし...
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◇ 北村薫「八月の六日間」

読もうとしたら中扉に山登りのルートの絵地図が描いてあったので、「小説だと思っていたが、登山エッセイか!」と心を切り替えて読み始めたら、十数行目で化粧道具を荷物に入れる描写があり、小説だった。もう一度、粛々と小説モードに頭を切り替えました。こ...
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◇ 清水義範「夫婦で行くイスラムの国々」

正直にいって、読むのが苦痛なエッセイだった。根本的に設定に無理がある。一般の団体ツアーに参加した旅行記を書いて、それを面白い読み物にするには高い技量が必要なのだ。そしてこの人にその技量はない。行ったことのある人はご承知だろうが、一般の団体ツ...
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◇ 森見登美彦「熱帯」

やったなあ、森見登美彦。一回り大きくなったと思うよ。もちろん今までの作品だってしっかり物語っていた。でもこの作品はそれらにも増して稀有な「物語」。素晴らしい。「千一夜物語」をモチーフとしている。――その取り込み方がね。凡百ではないね。千一夜...
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◇ 磯田道史「龍馬史」

磯田道史は、前に一旦だいたいの著作をつぶして、また戻って来た。多分11年前。11年の間にこの人もずいぶん書きましたね。この「龍馬史」の特筆すべき点は、その平易さ。これは、歴史に詳しくないけど龍馬に興味がわいた人に最初に読んで欲しい1冊ですな...
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◇ 門前典之「浮遊封館」

門前典之は3冊目。1冊目の「屍の命題」、2冊目の「建築屍材」とも起承は実に本格っぽくなりそうな面白さで、そして転というほどの転はなく、結がダメダメ、という共通項を持っていた。さて3冊目はどうか。……この、いかにも大げさな、いかにも本格っぽい...
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◇ 飯塚くに「父 逍遥の背中」

坪内逍遥は教科書で名前を見て、その後「小説神髄」をなんとか読んだ程度。そしてその中身はまったく覚えてない。二葉亭四迷の「浮雲」と並んで、この頃の小説はまだ整ってないんだなあとしか。なので坪内逍遥の人となりについてはまったく知らない。興味もな...
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◇ 高橋秀実「TOKYO外国人裁判」

前にこの人の「弱くても勝てます 開成高校野球部のセオリー」を読んで、たいそう笑えた。なので2冊目としてこれを読んでみた。1冊目に比べてかなり真面目。これは、日本では外国人(主に東南アジアからの)の裁判がいかに不当に行われているかを書いた本。...