◇読んだ本の感想。

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◇ ジョン・バンヴィル「コペルニクス博士」

最初は幻想の手法で書かれた伝記だと思ったが実は違った。伝記の皮をかぶった幻想小説でした。佐藤亜紀、至上の一冊だそうだ。なので「どれだけ曲者なのか」と思いつつ読み始めたのだが……あれ?けっこう普通だ。タイトルのコペルニクス博士が、まさかあのコ...
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◇ 三雲岳斗「旧宮殿にて  ―15世紀末、ミラノ、レオナルドの愉悦―」

まとまり具合と上品さを評価するべきか。物足りなさを難ずるべきか。歴史上の人物を探偵役に持って来るのは、けっこうな人数の作家が試みている。好きな方の作りなので、わたしもこれ系統はわりと読む。でもそんなに名作と感じるものはありませんな。一作を除...
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◇ 夏目漱石「草枕」

「草枕」で有名な文章と言えば、   智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。   とかくに人の世は住みにくい。――だが、それは脇に置いといて、この作品には頷かれるところが多かった。夏目漱石を好きなのは、まさに然り、と言...
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◇ スタインベック「怒りの葡萄」

おれはこんな本を読みたくなかっただ。いや、この本がくだらねえといってるわけではねえ。これは立派な、たしかな本だ。だが痛え本だ。つれえ本だ。読んでるとつらくなるだ。人間は二つ、種類があるだ。強えのと弱えの。強え人間はこういう本を真正面から読め...
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◇ 恩田陸「球形の季節」

あまり語るべきことは多くはない。唯一言いたいことは、これはいわば「遠野物語」の遠い子孫だということ。この人の作品は4作目か。本作の道具立てはかなり「六番目の小夜子」を思い出させますな。高校・噂・噂に操られる人々・事件。この人はとにかく噂が好...
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◇ カズオ・イシグロ「わたしたちが孤児だったころ」

この話、結末はもしかして夢落ちで終わるのでは?と思いながら読んでいた。だって話が不自然だよね。なんで主人公が探偵なのか。探偵が出てくるような話ではないはずだが。なんで20年も経ってから行方不明の両親を探す?そしてなぜ生きていると思える?主人...
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◇ 塩野七生「海の都の物語 下」

上巻巻末の高坂正尭という人の解説によれば、上巻はヴェネツィアの「成功の物語」、下巻は「輝かしき苦闘の物語」らしい。たしかに下巻は上巻に比べて出来事を書く割合が減り、状況の説明が増える。その社会の活きの良さは物事がいかに躍動するかによる。つま...
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◇ 塩野七生「海の都の物語 上」

ひと頃は塩野七生を追っかけていたので、「ローマ人の物語」以前の文庫本はおそらくほとんど持っている。これも我が蔵書。何年ぶりかで読み返した。……しかしその前に「ローマ人の物語」についてモンクを言っときたい。前にも言った気がするけど。なぜ文庫版...
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◇ 和田忠彦「ヴェネツィア 水の夢」

著者はイタリア文学者。訳書も多い。イタロ・カルヴィーノの「パロマー」もこの人か。あんまり覚えてないけども。この本は、過去関わりのあったイタリアの作家・詩人たちを中心に描いたエッセイ。衒いを感じるが好きだ。好きだが衒いを感じる。――どちらなの...
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◇ スティーブン・ジェイ・グールド「パンダの親指」上下

池澤推薦。曰く「生物学の本を読むならまずグールド」。……無理だと思うんだけどな、わたしは。これを“まず”として、いわば入門書として推薦するのは。グールド1冊目として「嵐のなかのハリネズミ」を読んだ。――衝撃的にわからない。これだけわからない...