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◇ 米澤穂信「小鳩くんと小佐内さんシリーズ」

シリーズ3巻。春、夏、秋ときてるんだから、当然冬もあるはずなのか?
それとも、話としてはひとまず収束しているので全3巻で完結なのか?

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夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
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調子にのって4冊全部並べてしまったが。
本屋で平積みになっていたこのイラストに目を留めたのは、もう何年前だろう。
「春」が2004年12月の発行らしいから、7年くらいは前ですわねえ。
リストアップして、読むのをけっこう楽しみにしていた部類。

タイトルの可愛らしさから、もっとたわいなく可愛い話かなと思っていたら、
けっこう小骨がありました。まあタイトルにちなんでスイーツで例えれば、
ミルクチョコレートだと思ってぱくっと食べたら、実はビターブラックチョコでした、みたいな。

小鳩君と小佐内さんは“恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある”。
何をメインにした互恵関係かというと、――小市民になるための。
この辺はメンドーなので、本文を読んで下さい。主人公たちがもってまわった思考回路の
持ち主なので、話がコメンドクサイ部分はあるんだよね。
そこが好きなんだけど。

やっぱりキャラクターの勝利だろうな。これも。
小鳩君と小佐内さんは変だ。世の中を韜晦する高校生。――高校生に韜晦も何もないだろうと
思えるのはオトナなので、この話はイラストの可愛さに関わらず、意外にオトナ向きなのかもしれない。
ミステリとしては――どうかなあ。このタイトルでがっつり本格を期待して読む人も少なかろうが、
日常の謎系ミステリの小粒感は、好き好きだよね。
ミステリというより、何となく「レイトン教授」に近いものを感じた。
パズル系というわけでもないんだけれど。

連作短編で、話によっては論理の組み立てをリアルタイムで細かく追っていく回が
あったりして、そこが面白かった。あれ、何だったかな。
「夏」の「シャルロットは僕のもの」だったかな。

実は、実生活の知り合いで、小佐内さんのイメージにぴったりの人がいて……
ちっちゃくってかわいいの。ささやくように喋るその声も小佐内さんっぽい。
本を読んでいる間、その人を想像して読んでいるくらい。
一部ファンにはうらやましかろう。まあ年齢は高校生よりはずっと上だが。
しかしわたしは知り合いになってから長くないので、……もし彼女が実は小佐内さん並みに
“狼”だったらどうしようと、期待半分で戦々恐々としている。

米澤穂信は多分一通りつぶすだろうなー。
まだそれほど冊数が出ていないからあまり大変ではないはず。
ただし苦い話は嫌いなので、小骨部分が肥大すると好きではなくなるかもしれない。

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