パリのオルセー美術館が大改修を済ませたそうだ。
改修されたのか、では行ってみなければ……と思うほどオルセーに思い入れはないが、
NHKの特番は見てみた。
改修告知特番のわりに、あまり美術館をフィーチャーしてなかったような。
一応、第一部は「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」を例に、新旧の見え方を検証していたが。
たしかに、壁の色や床の色を変えたことで、だいぶ絵の印象が違うようだ。
……っていうか、美術館は最初からそういう部分も考えた上で設計せーよ。
第二部の方が面白かったかな。
印象派当時の女性の生き方を、オルセー所蔵の印象派絵画とからめて追って行く内容。
モネの「左向きの日傘の女」。
衣装の専門家が、バッスル部分のふくらみが小さいことからモデルは若い娘だろうと。
そして、たしかにモデルは当時18歳の娘だったそうだ。
絵画から当時の風俗が細かく読みとれるものなんですなあ。
いや、それはもちろんそうなのだが、その風俗から「新しい生き方を始めた女性たち」
という言葉が出て来るとは思っていなかった。
「日傘の女」から自立心を感じることもなかったし――
なんで「日傘の女」から自立心が出て来るかというと、まさにそのファッションのゆえ。
絵の中には日傘・帽子・コサージュが描かれている。庶民にまでファッションが浸透し始め、
女性たちが自己表現を始めた時代だと。
なるほど。ファッションは自己表現なのか……。
そういう基本にわざわざ気づかされるほど、ワタシはその辺、疎いのだが。
他に取り上げたのはドガ「エトワール」、マネ「ベルト・モリゾの肖像」。
「エトワール」では職業選択の自由(留保付きだが)の萌芽、
「ベルト・モリゾの肖像」は女流画家として生きた彼女自身を紹介し、
“アール・ドゥ・ヴィーヴル”というキーワードを導く。
直訳すると“生活の技術”か?
番組内では“自分らしく生き生きと生きること”という意味で使っていた。
ありがちな結論に落ち着いたわりには、いい感じの番組だったなー。
それはひとえに天海祐希のキャラクターのお陰だと思われる。
好きなんですよ。男前な感じで。
……だが、実は女優としてはほとんど見たことがないのだ……。
Wikiで何を見たことがあるかチェックしたところ、
ついこないだ再放映を見た「蒼天の夢」(しかしチョイ役といえばチョイ役)と
テレビで見た「アマルフィ 女神の報酬」だけだった。これで好きと言っていいのか。
いや、なぜ彼女が好きかというと、以前、非破壊検査(株)提供の美術特番があって。
(リンクまで貼ったんだから、何かくれ、非破壊検査(株)。)
年に1回だか2回、まあ何年かやってたんですよ。少なくとも数回は見た記憶がある。
番組の旅人として1回ずつ女優を変えており(そのチョイスもわりと上品だったので気に入っていた)
その中の1回が天海祐希だった。
その時に「ああ、この人は自分の言葉で語れる人なんだな」と思って好意をもった。
たしか彼女の回はウィーンの世紀末芸術……じゃなかったかなー……。
その絵を見て、あるいはその場所に行って(建築も取り上げてたから)、
その時に等身大の言葉で語れる人は多くはない。
わかったような顔をしない。わかりたい、という共感の姿勢は強く感じるけれども、
頭でわかったような顔をしない。ナチュラルさに惚れた。
今回も、美人なのに自然体、という彼女の良さが堪能出来ました。
しかしオルセー。自然光あんなに入れて大丈夫なのかね?
まあ彫刻作品はいいとしても、それこそ「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」なんて、
燦々と光を浴びている感じだが……
絵が傷まないかねー。
ルーブルも、グラン・ギャラリーとかかなり光が入るイメージだよなー。
デザイン最優先のフランス気質はどうもあぶなっかしい……。
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