「たけしアート・ビート」で先日、漆芸の室瀬和美を取り上げていた。
……いや、日本の伝統工芸は究極の技術をいってますねえ。
ほとほと。截金の江里佐代子しかり、七宝の並河靖之しかり。
工芸ではないが、ここんとこずっとNHKプレミアムでフィーチャーしている若冲も、
「あんた一体何者……」と絶句する細密さと精度。
彼らはどこまでミクロコスモスを追求しているのか。
今回の室瀬和美。もう少し本人の作品をじっくり見たかった。見た中で、モノとして驚いたものはない。
しかしとにかく印象に残ったのは、……あの極細の線の引き方。
震えるだろう!普通は手が!
でも、手元をクローズアップしたカメラでも、絶対にある筈の微細な揺れも映らず。
筋力をつけるとか、そういう問題でもないですよね。なんなんだろう。あれは一体。
神の手ということなんだろうか。
蒔絵の、金を蒔く時も。
正直、ただ蒔きゃあいいと思っていたんです、わたしは。
だって結局くっついた金の粒子以外は払い落すんでしょ?だったら、がーっと大量に蒔いて、
別に問題ないわけじゃない?払い落した金だって再度使えるんだろうから、
材料費が無駄になるわけでもないし。
でも線があれほど極細になると話が違って来るんですかねえ。
室瀬和美が蒔く金は一応、線に載るのに(この載り方も、線の幅に金一粒、とかそういう
細さですけどね)、たけしがやってみたところ線に載ったのはほんの数粒。
金もただ落とせばいいってもんじゃないんだ……。
ま、前述したように、山盛りにして数打ちゃ当たる方式で何がいけないんだかは不明だけど。
そこらへんは美学の部分でしょうか。それとも、その方法だと意外に載らないのかな。
材料も大変らしいですよ。一本の漆の木から取れるのが一年にコップ一杯程度とか。
一応、輸入物はあるそうなんだけども……自然物由来の原料は、やはりその土地の気候風土で
取れた物が良いという事実(あるいは信仰)はあるんだろうし。
あ、うへーと思った事実。
極細筆の毛はクマネズミの腋の毛なんだそうです。
超繊細な漆器の絢爛たるデザインがクマネズミの腋毛によって生み出されているのかと思うと、
……うーむ。
そして、そのクマネズミの筆を作る人も減って来ているから、今後が不安だとか。
漆器もねえ。いいものはいいんだろうけどねえ。
でも扱いが難しいとは聞くし、自分が持つという意味での食指はあまり動かない分野だ。
どうだろう。番組の中では室瀬和美とたけしが、漆器のお猪口で飲んでいたが。
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