PR

< ロング・エンゲージメント >(DVD視聴)

いかにもフランス映画らしく、映像は美しい。
――だがいかんせん、

登場人物が多すぎる。

みんな小太りの(小太りじゃない人もいるけど)ヒゲのおっさんなので、区別がつかない。
おっさんというくくりだけなら、10人じゃきかないだろう。

って、監督!気付いてるならなんとかしろ!
音声解説で区別がつかないことには言及しているくせに、それに対して彼がとった解決策といえば
“家具職人”などの職業の説明台詞を付け加えただけ。
「それで観客はわかるようになる」とご本人は自信満々で語ってますが、
おっさん10人って、そんなんで解決出来るレベルと違いますから!

他の処刑仲間4人。マチルドのおじさん。弁護士。私立探偵。調達の鬼。寝とられ男。
連隊長。上等兵。殺人鬼。ざっと思いだせるだけでこんなにいる。
区別がつくおっさんも他数名(郵便配達の人とか、義手のバーのマスターとか)いるので、
……133分の映画でおっさん十数名ってツラくない?

しかもそれぞれが色々な呼ばれ方をするんだよー。姓で呼ばれたり、名前で呼ばれたり。
綽名がある奴までいるんだぞ。
あげくの果ては入れ替わったりなんだり……
こっちゃフランス人の区別なんてつかんっちゅうねん!
なので、見ていて話がわからなくて困った。

フランス人の作るもんは極端に走りがち。
ま、この映画は極端というまでではないけど。しかし多少は中庸の美徳とか、バランスとか、
意識しないもんかね?
彼らは、物事一つに対して、何か一つを特化させたいらしい。
だからデザインに特化すると実用性を無視したとんがったデザインになるし、
映像美に特化すると「仕立屋の恋」とかの、この話一体なに、と言いたいストーリーになるのだ!

国民性なんだろうなー。
イギリス人にこういう風に特化した作品を作れと言っても無理なように。
(イギリス人にも時々はとんがった人もいると思う。しかし彼らの場合、そういう人は
さらに突き抜けて前衛になりそうな気がする。)
日本人が作るとどこか湿度が高く。
アメリカ人が作ると常にハリウッド的シンプルさが……
ま、偏見ですよ、偏見。
(ところでアメリカ人が作ったアメリカ映画で、“精緻”という作品には何があるんだろう?)

※※※※※※※※※※※※

オドレイ・トトゥは相変わらず笑わない役柄ですねー。
それが彼女の値打ちでもあるが。ようやく笑った時の笑顔の価値が高まる。

もう少し恋愛部分の比重が高くても良かったかな?
戦争パート、予想よりも多め。戦争ものは好きではない。まあ本作は戦争を描いても
映像的には概ねきれいで、見せびらかすような醜さがないのでそれほどツラくはなかったが。
時々いるでしょ、不幸や悲惨を描くのに、これでもかというグロい映像を作る人が。
とはいえ、醜く描かなければ伝わらないものもあるというのは、確かにそうなんだけれども……

ジョディ・フォスターがあんなチョイ役で出ていてびっくりした。
似てると思ったら本人かい。わたしは彼女を「アンナと王様」でしか知らず、
しかもその時はチョウ・ユンファのラブリーさに気をとられていたので
(個人的評価では、現行“ラブリーなハゲ”世界一である。)
彼女のことはあまり見てないかも……。いい女優さんらしいんですけどねえ。

マリオン・コティヤール。つい最近(といっても一昨年か……)の「パブリック・エネミーズ」が
わたしは初だが、そのすぐ後に「NINE」にも出てたし、来年のバットマンにも出るらしいし、
今が旬の女優なのかと思っていた。2004年の本作にすでに出てるんですね。
いい味を出していると思います。「NINE」ではたしか良妻役だった気がするが、
どっちかというとファム・ファタル的な役柄の方が似合う。

女優陣はマチルドのおばさんを含めてOK。
男優陣は、――区別がつかないので言及出来ません。

唯一、ギャスパー・ウリエル(ウリエルって感じの顔だわ~)は、いかにもフランス男らしい
可愛い顔だけど、オドレイ・トトゥと釣り合う存在感があったかどうか。
弟くらいだとちょうどいいかな。雰囲気も似てたしね。でも弟じゃ映画にならんしな。

ロング・エンゲージメント [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2006-01-27)売り上げランキング: 29788

再会出来たのはいいけど、今後が大変、という感じのカップルだ。
マチルドの頑固さで何とかするんだろうけど。それはそれでマネクが若干気の毒……

コメント