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◇ 吉田健一「旅の時間」

以前、池澤が吉田健一の「ヨオロッパの世紀末」を名著だ、と言っていたので読んでみた。
……ら、これがまた読みにくいのなんのって。
近年ではグールドが読みにくかったが、あれは内容への必要最低限の知識が不足していた読みにくさ。
吉田健一は文章が読みにくかった。旧かな遣いだったかもしれないが、
旧かな遣いだというだけの理由で読みにくかったとは思えない。
生理的な読みにくさ。

なので、「ヨオロッパの世紀末」はいい加減に読み飛ばし、
――というより、中断したんだったな、読書録に残してないところを見ると。
より読みやすそうな「旅の時間」を読んでみた。

……これはさー。十進法分類でいくと914なんだけどさー。
なんで他人名に仮託するかね?自分はこうした、そう思った、こう喋った、じゃダメなのか。
まあ本人的にはダメだから、いかにも他人事のように他人の苗字を使って
エッセイ(というかフィクション……)を書いているんだろうが、なんかどうもね。
読んでるこっちが落ちつかなくてね。
一応これは読めたけど。これから何冊も読む気にはなれんかったなー。
……てか、これもしかして、913が正しいのか?

けっこう珍しいです。こういう生理的な合わなさは。
それに、正直に言えば内容が多少高踏的だもんね。まさに池澤好みなんでしょう、この辺。

英国好きとして吉田健一を好きになれなかったのは多少残念だが。
まあそんなこともあるさ。
ま、だからといって林望とか出口保夫とか、小池何とかっちゅーのもビミョーですけどね。
いや、この辺も別にキライじゃないんだけどさ。

わたしが思うに、英国好きは書きたがりが多い傾向がある。
旅行先としては多分イタリア、フランスの方が人気があるであろうのに、
図書館の外国もんコーナーのイギリスの分量はダントツですよ。

多分一冊にまとめるべき切り口が豊富なんだろうと思う。
アンティーク。パブ。ミュージアム。文学。英王室。紅茶。シャーロック・ホームズ。ビートルズ?
ま、他にも色々。

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