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◇ 笙野頼子「幽界森娘異聞」

なかなか大変な感じです……。

昨今の純文学はこんなんかねえ、と言いたくなりますわ。
まあ村上春樹あたりと比べれば、それでも読んで楽しい方ではあるんだけれど……
これも言うたれば意識の流れ手法なんだろうか。いや、それにしては作為的過ぎるのか。
読者をあえて道に迷わせる。迷うほどではないにせよ、どこを見てていいのかわからないよ。

でも森茉莉について書くのなら、この人はふさわしいだろうし、
そういった意味ではアリだろう。森茉莉についてあんまりもっともらしく書かれても違う気がするしね。
ただし、わたしは最初もっと評伝寄りの作品だと思っていたので、
どんどんどんどん話が迷宮に入って行くのには正直、うう、と思った。
「カニバット」の時もそうだったな。先へ行くに従って箍が外れるというか……。

こういう書き手もいていいが。
こういう作品があってもいいが。
これを読んで、徒労とまでは思わないが。
……正直なところ、有限な人生で読むべき本だったかどうかと言われると、
うーん、……ねえ。

幽界森娘異聞
幽界森娘異聞

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「たまには闇鍋を食べてみようか」と思い立った奇特な人向き……かもしれない。
いずれにせよ、あまり普通の人に薦められるものではない。

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全く関係のない話になるが、先日、久々に本屋に行った。
平積みで珍しく(!)けっこう食指が動く本が数冊あり「おおっ、久々に買い込もう」と思ったが……

池上永一「テンペスト」の文庫が出てたんですよ。しかも4分冊。
そして仲間由紀恵主演でドラマ化決定!のオビ。

テンペスト 第一巻 春雷 (角川文庫)
池上 永一 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010-08-25)売り上げランキング: 10723

(あ、今なら表紙は4巻とも仲間由紀恵ですよ。それが良いか悪いかは人によるだろうが。)

ええ~?どうするよ、これ。
買うか?池上永一、1作品くらいは持っているべきだろうし。
ドラマは見たい。ドラマを見る前に原作を読むのは基本だろう。
でも4冊かー。いや、いいけど、置き場所が……。
で、買うと積読本の柱に積むのが基本だから、読むのがまた5年後になったり……。
でも掟を破ってすぐ読むには、今、借りてる本がけっこうあるしなー。すぐは読めんなー。

……と、うだうだ考えているうちに、等距離の餌の中間にいる羊状態になって、
結局(何も)買わずに来ました。こんなことになるなら、こないだ、予約人数に負けずに
図書館で借りておけば良かったのだ~。

あ、でも今図書館で確認したら、空いてるじゃん!
しかも単行本なら上下2冊だし!さっそく予約しよう。借りて読むなら寝かせずに読める。

ところで池上永一。舞台・ドラマ化おめでとうございます。
ちゃっちゃと書ける芸風(?)ではないし、印税以外の収入があるのは彼のために喜ばしい。
だからといって東野圭吾とか浅田次郎のようになって欲しいわけでは全くないが。
……ならないだろう、この人はきっと。

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