久しぶりに図書館から借りた本。
“運命の男と女は何度も出会う”――という話だとすれば、これはもうべったり
素直なロマンス小説だと思うじゃないですか。
しかしやはり恩田陸。そうストレートには来ないのだ。
いやいや、たしかにラブストーリーですよ。ロマンチックでもある。
が。
前半はさくさく読める普通の?ラブストーリーなのだが、第4章で、
……こう来るか、恩田陸……
と愕然とする。うーんうーん、ネタバレっていうか……言及しないでおくけど、
この話でアノヒトを出して来るかねえ。力技すぎないかねえ。
小説としては、わたしは、一般人のみで構成した方がまとまりも良かったと思うよ。
わたしの中のアノヒトのイメージと恩田陸書くところのアノヒトは全く違う。
正直言っちゃえば、恩田陸、アノヒトの人物造型があまりにも薄っぺらいぞ!
これは“キャラクターを便利に使ってしまった”以外の何物でもない。
いただけないなあ。
きらきらしたロマンチックな幻想、だけで良かったと思うんだけどな。
道具立てとしては絵と絡めるだけで十分だったのでは。
(章ごとに話が既存の絵画と絡む。当て書きの小説。この絵画のチョイスはちょっとニクい。)
あちこちから持って来すぎだ。そうでなくとも時空間の交錯が激しくて、
眩暈を起こしそうなんだからさ。
と、まあ、文句はいろいろあるが、それでもどこか微妙に惹かれるところがあるのが
恩田陸のフシギなところ。
共感はしない。感覚――感性的には自分とはけっこう遠いところにいると思う。
それでも何かが愛着を感じさせる。それが何かというと、多分。
――あ、やっぱりやめとこ。素面じゃ言えませんわ。
でも、読み慣れて奇妙な味わいが薄れてしまったら、魅力を感じなくなるのかもしれないな。
現在ツブしている最中だけど、さてどこまでお付き合い出来るか……
けっこう書いてますからねえ、この人。
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