こういう内容の話は嫌いだよ。
暗くて暴力的で救いがない。わたしは最もシンプルな意味で読んでプラスになる、
楽しい、面白い、明るい、きれいな小説の方が好きなんだ。
が、そういう全く好みに反した内容なのにも関わらず、それをけっこう集中して
読ませてしまうんだから……この人の“読ませる”能力は相当なもんだよ。
前半の方が良かったかな。コンスタントな展開で。
地主の息子の転落人生(?)の話だから、系譜的にはロシア文学かねえ、と思いながら読んでいたが、
いやいや、結局この人は、実は動乱状態を書くのが好きなだけでしょう。
前も何だかで(多分「戦争の法」……。)新潟を舞台にした架空戦記物を書いていたような。
文章力は立派に文学の人だが、話の根本はオタクだと思います。
いや、そのスタンスは嫌いじゃない。嫌いだったらほぼ全ての本をカバーしてたりしない。
出来れば、もう少しわたしの好きなジャンルの話を書いてくれるとウレシイけどね。
“楽しい、面白い、明るい、きれいな小説”は彼女が10回生まれ変わっても書きそうもないが、
素材が、例えば画的に美しい貴族社会の話とかだと、わたしでももっと楽しく読めるのだが。
たまには少しサービスしておくれ。
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