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◇ 森茉莉「ベスト・オブ・ドッキリチャンネル」(中野翠編)

食傷。
なんというのかな。単純に言って「玉石混交にもほどがある!」といった1冊。
玉はいいけど、ここまで石を読ませられると、もういいっちゅうねん!と言いたくなるぞ。

まあねー。「ドッキリチャンネル」を連載していたのは著者最晩年のようだしね。
筆力は年齢だけではないとはいえ、瑞々しい感性でもって書くようなもんじゃない。
面白いことは面白いけど、こういうものが単に面白いだけならわざわざ読まなくても良い気がする。
玉の部分は単に面白いよりは面白い面白さだが、それ以外は……

総じて飽きました。読み終わるまでけっこうかかったなー。
面白くないわけでもないんだけど。

中野翠が選んだというのも、わたしにとってはおそらくマイナス……
彼女の本は4冊読んだけど、80%強が退屈だった。そんな中野翠が好きな森茉莉。微妙だ。

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「贅沢貧乏」の時にはあった、自分さえも突き放して見る対象との距離の取り方の適度さが、
この本にはなかったからな。テレビをテーマに取り上げたのは安易といえば安易なんだよね。
回転ずしの安易さ。手を伸ばすだけでちょっとしたもんが食べられるから、
素材を探す苦労がないわけだし。
やっぱり素材に苦労して巡りあってこそ、その波紋も大きいというもんじゃない?
そういう波紋を苦労して起こすトシではないと言えば、それは本人の選択なんだけどさ。

まあ、世の中を好悪で判断するというのは、わたし自身が行っていることではある。
世の中を知る方法が同じということは、ある意味同類ではあるでしょう。
なので若干、近親憎悪な部分もあるのかもなー。

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