池澤推薦。曰く「生物学の本を読むならまずグールド」。
……無理だと思うんだけどな、わたしは。
これを“まず”として、いわば入門書として推薦するのは。
グールド1冊目として「嵐のなかのハリネズミ」を読んだ。
――衝撃的にわからない。これだけわからない本を読んだのは久々だぞ。
ちょっと考えて、これはチョイスが悪かったのかもしれないと思った。
この本は、生物学についての本に対する書評で、つまり専門家が専門家の著書について
述べているものだから、ずぶの素人が読むには若干難しいのではないだろうか。
故に2冊目「パンダの親指」。タイトルからして絶対一般人を意識しているはずだ。
掲載したのも新聞らしいし、これこそ一般向けのはず。
……が、駄目でした。歯が立たない。
何しろ言葉がわからない。前回の本でも話題の中心はダーウィニズムだったのだが、
「自然淘汰を基本とした生物進化についての考え方」程度の認識じゃまるでダメで、
ダーウィンが進化論を唱えて以来、議論されたあれやこれやのイロイロを踏まえた上で読まないと
さっぱり内容を味わえない。書いていることの意味はおおよそわかっても、
この本を面白く読むためには生物学についてのある程度の蓄積が必要。
でも蓄積って、初心者が持っているものじゃないでしょ?
つまり何が一番言いたいかというと、――グールドの本が名著かどうかはいざしらず、
「生物学の本を読むならまずグールド」という惹句はあまりに不親切ですよ、イケザワさん。
そりゃご自分は基礎知識は入ってるだろうからいいけどさあ。
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とは言うても、自分の土俵内のことだと一般の基準がどこにあるかはわからなくなりがちだけどね。
人間“無知の時代”のことはなかなか思いだせません。
知らなかった過去には戻れないわけですから。
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