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< コルテオ シルク・ド・ソレイユ >

流行りにのせられて?「コルテオ」見てきました。

「お金があるなら行った方がいい」という妙に説得力のある知り合いの言葉に後押しされて。
オカネないけど(-_-;)、行ってみた。行って良かった。
だがパフォーマンスをずらずらと説明するのはやめよう。
会場に一歩入った途端に連れて行かれる世界を、その時に体験する方が正しい。
ロンドンで見た「キャッツ」を思い出した。同じ360度の円形舞台のせいかもしれない。

没頭した。
もちろん最初から最後までずっと我を忘れていたわけではないけど、
目を瞠り、口を開けて、身動きも出来ずに舞台上を見ていた瞬間は確かにあった。
非常に質の良い映画を見た時と同じく、自分が消え、目だけになる。

最初の「シャンデリア」という演目で心を鷲づかまれ。
美しかった……。泣けた。
あ、でも最初という意味なら個人的には、――馬だな。ふと気づけばすぐ横にいてびっくり。
最も印象に残ったパフォーマンスであれば、「ヘリウム・ダンス」だ。

世の中のパフォーマンスには、面白いものも美しいものも、凄さに驚くものもある。
ただコルテオは、そういうものを全部煮溶かして複雑微妙な味わいに仕上げている。
うっとりする。夢心地になる。そこまで出来るパフォーマンスもなかなかないでしょう。
うん、やはり「キャッツ」を思い出すな。「キャッツ」も、ある意味人間技じゃなかった。
猫の動きの凄さが。鍛え抜かれた肉体の動きで、見ている者に魔法をかける。
あの時も恐らくは、没頭していたはず。

うーむ、なるほど、これはリピーターになるなあ……。
見てはいないが前回の「ドラリオン」と比べて、「コルテオ」はニュアンスのある、
大人な感じのパフォーマンスのようだ。わたしもそこに惹かれたしねー。
“死を迎えようとするピエロが見た夢”という設定と、
それがイタリアベースで作られていたことが成功している。
そこからもう、流れ出すものがある。
だってイタリアはニュアンスの国ですよ!(と、とりあえず断言してみる。)

ところで注文がいくつかある。

ベースにサーカス、アクロバットがあるわけだから仕方ないとはいえ、
逆にベースをストーリーにおいたものを見てみたい気もする。
わたしにとっては、現行の進行だと少々ストーリー部分が物足りない。
もっと話をしっかり見せたら、また別の面白さを生むのではないだろうか。
なかなか実現はしにくいだろうが。

シルク・ドゥ・ソレイユはカナダのパフォーマンス・チームだそうだが、
演出にイタリア人を据えてみるというのも手だったかもしれない。
もっと濃厚にニュアンスが醸し出されたかも。
……と思ったのだが、実は演出家はスイス?イタリア?少なくともヨーロッパ人のようだ。

話の始まりはわかりやすいんだけど、フィナーレがアクロバットで終わってしまうため、
話が完結しない。最初を物語として始めたんなら、最後も物語として締めて欲しいところだ。
まあ、最後のアクロバットが大きな道具を必要とするので、
そこから舞台を片付けて物語に戻すのは難しいのだが。

照明にもう少し改善の余地があると思った。スポットライトの数を増やすべきなんじゃないかな。
当て方自体も巧いとは言えなかったように思う。もう少し何とかなりそうだよ。

見せ場を分散していたのはわざとなのだろうか。
同時進行で色々なことをやっているから、一つ所を見ているうちに、別なところを
見逃している気がしてしょうがない。
それは反面、観客の目を別な所に惹きつけておいて、いつの間にか場面変換をしてしまう
技と同根だから、一概に改善すべきとも言えないけど。

でも見せ場をわかりやすくしていないせいで、観客はどこで拍手をすればいいか
若干迷っていた感じがした。少し盛り上がりには欠けたかもしれない。
まあノルのに時間がかかるのは仙台人の特性らしいけれども。

オカネは高かったけど(^_^;)、見て満足。見て良かった。
ただ、もう少し広告宣伝費を抑えて欲しいとは思うなー。あんまりがんがん宣伝されると
逆に逃げ腰になるわたしのようなのもいるんだし。
広告宣伝費を抑えてSS席を1万円にしてくれないものかと……ワタシのささやかな望み。

ちなみに、技術としてどちらが、ということであれば中国雑技団に軍配があがります。
それはそれで全然構わない。シルク・ドゥ・ソレイユはトータルで見てなんぼですから。
サーカスとはいえ、未就学児童にはちょっと勿体ないかな。
観賞力が必要なパフォーマンスだと思います。

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