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◇ ムラギルディン「ロシア建築案内」

いや実は文章はめんどくさくて読めなかった。
なにしろB5弱の大きさがあり、ページ数400超の厚い本。
しかもわたしはロシア建築界について何を知っているわけでもないからね。
全く知らない人名とか歴史的事件について書かれると、どうしても目が滑る。
でも写真を眺めるだけでもかなり楽しかった。
眺めた感想をさくっと。

ロシア建築というのは、あんまり馴染みがないせいか特異に感じる。
全く孤立しているデザインというわけでもないんだけどね。
バロックもドイツ辺りと通じ合うものがあるし。エルミタージュの軽やかさはロココだし。
が、時々妙に突出したものがあるような……

前にテレビで見て、ものすごくぞーっとしたのは、スターリン・アンピール様式。
この本の写真ではいまひとつ怖さがないので、wikiの該当ページへ。
なんていうのかねー……これは人間が作っちゃいけない建物な気がする。
人間スケールの建物じゃないよなあ。
多分バベルの塔を見た人が感じる危機感に似ているのではないか。
空恐ろしい巨大さ。人間の温かい血が希薄。実に整然としているからこそ、とても不気味だ。

特異といえば、聖ワシーリー聖堂。これはここにしかないという建物なんだろうな。
豪華なチョコレート・デコレーションケーキに見えないこともない。

キージ島の木造教会なんかも面白かった。
これは多分北欧あたりと共通する造形なんだろうけれどもね。
たしか藤森さんが「奇想遺産 世界のふしぎ建築物語」で行ったのはここだった気がする。

時代がごちゃごちゃになっているから、この本を読んだからといって、
ロシア建築の傾向なんかはわたしには全然わからないけれど。
でも目新しさはあって面白かったな。微妙に食指が動く建築群。
この食指が動くというのは、単に好みなのかな?それともロシアのテイストにある、
どこか東洋的なものに反応しているのか。

とりあえずエルミタージュ美術館にはとても行きたいです。

ロシア建築案内
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