“本の雑誌30年間のベスト30”――そんなことを言われれば、ものすごく面白いものを
期待するじゃないですか。だがしかし。
これがそんなに面白いか?
いや、着想その他はいいと思うよ。全体的な作品として、そんなにつまらないわけではない。
が、30年間の30冊に入るほどの出来かというと……そうでもないよなあ。
新潮社
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脇が甘いっていうか、素人くささがひじょーに強い。
わたしは貼った文庫ではなくて単行本で読んだのだが、それは450ページ超の2段組なんですよ。
ここまで長大にする話ではなかったよなー。この半分程度、250ページくらい……
いや、300ページくらいでもいいかな、そんな程度で書いてくれれば。
なかなかに冗漫だったので、後半は少々流し読みが入りました。
実際、書いたのは素人。
当時46歳の実業家で“若いころからの夢だった小説に挑戦”し、これが処女長編だそうだ。
裏表紙にでかい写真付きで人物紹介が載っている。
好みかどうかは別として、けっこう見てくれはいい。
着想はなかなか。それから、ニューヨークという街に特化した対処法の数々はけっこう楽しめた。
でも、主人公の能天気ぶりに辟易。これは著者による典型的アメリカ人の戯画なのか?
それとも実際に典型的なアメリカ人を書いているのか?
どっちなのだ、と言いたくなる時点でワキが甘い気がするぞ。
……というように、気になった点は数々あれど一々挙げることはしない。
一本の小説としてはまあまあで、腹が立つほど不出来というわけではないから。
わたしが腹だたしく思うのは、ひとえにひとえに「これが30年間の30冊?」ということなのだ。
どこで決めた話かというと、「本の雑誌社」関連の書評家連らしいんだけどね。
プロの書評家が集まってコレ?釈然としない!!
……今、確認したところ、実はコレ、30年間のベスト30のうちのベスト1だそうだ。
えええええええーーーーーーーっ!
一体なんでそうなるんだぁっ!
コレがベスト1なんてコレがベスト1なんてコレがベスト1なんて(以下無限にループ)……
――ことほど左様に本の世界の価値基準はワケワカラン。
まあね。この世に何冊の本があるかは知らないが、天文学的数字であることは間違いがない。
これだけ数があると、そりゃ一定の価値なんていうのはなかなか決められませんわな。
地球上に棲息中の全生物中(ヒト除く)、「どれが一番か?」というのと同じで。
でもやっぱりコレがベスト1なんて……(←シツコイ。)
まあヨイ。
自分にとっての宝物に出会うことを夢見て、今日も本の荒野をワタシは行くのだ。
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