ようやく完結編。
うーん。第1回第2回をわりとちゃんと見たつもりだったので、今回の再放送は見なかった。
そのせいかなあ。今回の完結編はほぼ面白くなかった。
何しろ、ドラマの最初がごちゃごちゃしすぎていて。
実際に社会も混乱状態だったのだから、ごちゃごちゃしているのは仕方ないのだけれど、
全然知らない人が次々と出てきてケンカばっかりしているのでは、表層だけの感じ。
画面も暗いしねえ。わたしは暗い画面は、よほどのことがない限り手抜きと見なす。
第1回第2回はあんなに金もかけて、完成度も素晴らしいものがあったと思うのだが。
第3回は、並みのドラマになっちゃったなあ。感情移入が出来ずに終わってしまった。
主人公であるところの白洲次郎を公平に描こうとした結果、
いい奴なんだか悪い奴なんだかわからないって感じになっちゃったしね。
というか、そういう部分もじっくり描けば、それはそれで面白いんだけど、
表面しか撫でてないから、さっぱり。どうもつぎはぎ感は否めなかった。
脚本とか演出とか変わりましたか?
変わらなかったとしたら、予算と時間がなかったんですか?
それとも気力がなくなりましたか?
撮影の遅延は原田芳雄の病気が原因らしいので、そこを責めては可哀そうだが、
一気に撮って一気に編集して、一気に見るということが出来ていたら、
もっと幸せなドラマだったと思うよ。
第3回がこれでは、尻すぼみもいいところ。残念だ。
全作を通じて失敗……というか、上手く行ってなかったのは、正子の立ち位置だろうなー。
正子自体もドラマになってもおかしくない人物。正子の周りだってそうそうたるメンバー。
それがあんな風に撫でられただけでは、全く触れない方がもしかして良かったのではと思う。
小林秀雄が出てこない!青山二郎をやった亀治郎は怪演で、ある意味お手柄だが……
ちょっとやりすぎ感もあったし。
次郎を主軸に据えて当時の日本の社会を描く、という方向なら、
正子はワキ、彼らはワキヅレだからなあ。しかしもったいない。
正直に言うと、わたしはむしろ次郎と正子の関係をメインに描いて欲しかった。
もっとも、あの夫婦は(いい意味も含んで)全然共通点がない人たちだったと思うけどね。
なので、2人っきりで向き合っていたら最終的には離婚だった気がする。
次郎が戦後社会で、正子が文士たちや骨董相手に、それぞれ全力で戦っていたからこそ、
2人の間柄はライバル関係を含む戦友として成り立っていたのだろう。
でも、いい仕事をしたよ、NHK。役者はみんな良かったし。
(これが民放で、木村○哉なんかがやってたらどうなったことかとオソロシイ)
……最終回の出来がもうちょっと良ければ、万々歳だったがのう。惜しい。
コメント