【状況説明をしない。……つまり納得しづらい作品。(テレビ視聴)】
タイトルと、ジョニー・デップ、ケイト・ブランシェットの名前で見た。
内容についての予備知識一切なし。そして視聴後の感想。……うーん、これはなあ。
こういうのを見るとやっぱりフレンチは、といいたくなってしまう。
一応これは英仏合作の映画だが、監督がフランス人だということを考えればよりフレンチだろう。
フランスは時々こういうものを作る。美の追及を優先して日常を忘れる。
「アンタらはきれいかったらいいんかい!!」と言いたくなるような。
もう少し、何というか、実用性も省みた方がいいのでは?
いや、これは映画だけのことではないんだけれども。
最初の状況は全くわからなかった。そもそも冒頭の二人が親子には見えないんですけど?
てっきりお祖父ちゃんと孫だと思っていた。ここからつまづくようではアカン……
それでも大人になってからは、「もしかして幼少時の記憶が非常に錯綜していることを
観客にも体験させようとしてとった手法か?」などと思い、納得しようと思ったが、
……やっぱりダメですね。無理があるもの。
そもそも主人公がユダヤ人だというのも、どこでわかるの?と糾弾しようと思ったら、
あるサイトでたまたま見かけました。……歌がイディッシュ語なんですって。
わからねーよ!わかるわけねー!
言葉で明らかになるのはケイト・ブランシェットの「……ユダヤ人?」というところだが、
クリスティーナ・リッチの境遇で、自分がユダヤ人だという記憶は留められるものか?
ユダヤ人というのは人種的な特徴ではなく、宗教によって規定される、と
わたしは聞きかじっているのでそれを信じているのだけれども……。
全体的に周囲の状況の描きかたがあっさりしすぎ。
一々疑問点を書き出す意味もないと思うので割愛するが、戦争の部分はあんまりだなあ。
予算がなかったのかもしれないけれど、中庭で紙を燃やすだけで戦争は表現出来ないでしょ。
こだわるとしたら、そもそもあれは何を燃やしていたのだ!ということも気になるわけで。
それにラストがなー。まあ、わたしは”悪いフレンチ”(悪い、はあくまで自分にとって)に
期待はしないことにしているので、「ああ、やっぱりね」と思うだけで終わったけれど、
あれで怒る人もいるだろう。なんでああ作るかな。監督は。
良かった点に目を向ければ、画は全体的に美しかった。暗くて見えない部分以外は。
わたしは暗い中で行われる芝居はよほどの必然性がない限り”手抜き”だと見なすので、
少々手抜きには感じたけれども。
役者は全般的になかなか。それぞれ自分の役を合格点以上に演じていた。
ただ誰に感情移入が出来たわけでもなかった。
一番良かったのは音楽。「星は光りぬ」は好きなので嬉しかったなあ。
ジョン・タトゥーロと声が合ってたようには思えなかったのはご愛嬌というべきか。
子役は愛らしかったですね。
一度去って、二度と還らぬ。
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