オソロシイ……。
この人の本は以前一冊読んだことがある。「魔女の腕時計」というファンタジー。
読んでの感想。
――――素人(-“-)。
なんというか、暑さでべとべとに溶けた飴のよう。こんなの同人誌でやっとれ!
あまりにゲンナリしたので、感想を書く気にもならなかった。
もちろん小説はもう読む気にはならん。でももしかしてエッセイなら
まだ何とかなるかもしれない、と思って今回コレを読んでみた。
豪華客船での旅行記に間違いないだろうから、内容的にはそれほど地雷ではない。
ごくふつーに書けば、一応、同行者である夫:内田康夫のアドバンテージもあって、
そこそこは読めるものになっているかも……
で、読んだんですけどね。
……………………………………。
いやー…………。これは…………。オソロシイよ。
オソロシイほどオメデタイ本。これで他人様に金をとって売ろうなんて犯罪ですな。
思い出すだけで貧血を起こしそうだ。
何がイケナイのか?――全てがいかんのだ!
全てがいかんので、どこから手をつけるべきかわからないくらい。
幸いなことに、佐○賢一や「建築の七灯」の訳文と違って、文章自体がオカシイということは
ないのだが、内容が。盛り上がりも何もなく。ただずらずらと起こったことを
目に付いたままに並べた文章。
こんな、自分の半径5メートル以内のことしか書いてない文章は……。
非常に視野が狭い印象。井の中の蛙状態。
世間の荒波にもまれずに生きてきたんだろうな……。
まあね。売れっ子作家(個人的には内田康夫は「数打ち作家」認定だけれどもね)を
夫に持ってちやほやされていれば、どんどんスポイルされてしまうのも仕方あるまい。
よく言えば天真爛漫なので、夫からすれば可愛い妻かもしれないし。
お友達なら(ママッコ扱いにはなるだろうが)わりと楽しい友達かも、とは思う。
しかし頼むから“書く”な。書くならせめてブログで書いとけ。
このご夫婦は3年前に豪華客船で世界一周をしたそうだ。
それで船旅に病みつきになり、今回もまた豪華客船で世界一周。
しかしそれでも、このクルーズに参加するかどうかはずいぶん迷ったそうだ。
内田康夫の執筆スケジュールと、それから、以前(内田康夫に届いた)とあるハガキのせいで。
「私は、今年から年金生活に入りました。これから慎ましく生活をしなくては
ならないときに、あなたたちは豪華客船で世界一周ですか。いいですね。
私はあなたの作品のファンでしたが、あなたから心が離れました。
もうあなたの作品は読みません。はい、さようなら」
そりゃこれだけを取り上げれば、こんなハガキを出すのはお門違いだよなあ、と苦笑するよ。
稼いだ人がその金をどう使おうが自由じゃないか。
――が、この本を読んだ後だとね。こういうハガキを出したくなる気持ちは
ものすごくよくわかる。だって書き方があまりにも鼻につくもの。
自慢か(スイートとエコノミーのダイニングが分かれているのが気に入ったとか)、
アサハカな思い込みか(「自分の前世はイギリス貴族だと信じている」
「私って外国人に好かれるのかもしれない」とか)
凡庸な感想か(十代の小娘ならまだしも、というレベル……)
でなければ、ガイドブックの引き写しか、あるいは起こった出来事をずらずら。
欠点が数多くあっても、美点もあればまだ救われるのだが、文章に美点は何一つない!
……こんな本を読むのに二日もかけてしまった。
そして読んでいる間、わたしは不幸だった。思い出してはムカムカしていたので、
顔色は暗くなり、ちょこちょこ失敗をし、寝れば寝たで夢見が悪く……
ま、誰が一番アホウかと言って、こんなんを最後まで読んだワタシですな。
ましてこんな本にわざわざ言及しているのはアホウの最上級だ。我ながらゲンナリ。
しかしこの怒りをブログ以外、一体どこにぶつければいいのだッ!
本の神様。こんな本を読んでしまったワタシをどうかお赦し下さい。
そして出来ればもそっとこう、良い本との出会いを……。
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