シュミに走りすぎる著作は嫌いだ。
作者が舌なめずりをしながら書いたように感じて気持ち悪い。
もちろん書く人は好きなものを書くのが基本だが、そこに陶酔が交ると
その陶酔に同化出来ないわたしは冷めてしまう。
書くなら、対象をある程度突き放して見ることが出来ないと。
著者は、ブキミ系が大好きな人。
そうでなければ同じ系統の本を2冊も書けませんよ。
でもこの人の場合、趣味に耽溺している、というわけではないので面白く読める。
わりとかっちり系の文章。時々わたしの好みからは外れることもあるんだけど、
そのかわり「いいな」と思うこともたまにある。
この2冊のうちインパクトのあるものが何かと言えば、フィレンツェのたしかしょっぱなの……
人間の体の剥製?
少し前に読んだので内容はかなりあやふやになっている。人間の部分部分をまるで生けるがごとく
保存する技術を持った人が昔いて、その人の作った「作品」(←人間の部分剥製……)が
どこだかに展示されていると。
物体としてはかなりグロい感じですね。わたしは実際に見に行く気にはなれない……かな。
が、扱っているもののわりに(こういうものがそれほど好きではない)わたしでも読めるのは
淡々と書いているせいだと思う。拒否反応が起きない。
それに本としてはけっこう誠実だと思うんだ。この人は実際に現地に行っているし、
行ったからこそ書けることもちゃんと書いてる。単に行って、その感想というだけじゃなく。
主軸は紀行文なんだけど、タイトルに沿ってガイド的内容も忘れてない。
行き方とかしっかり載せているし……
(交通情報・開館時間を「本」として出したものに載せてもどうかなあ、という部分はあるが。)
あ、でも言っときますが、取り上げているものはブキミではあってもグログロというわけではない。
人体剥製?が一番グロいくらいではなかったか。
澁澤龍彦系統。うーん、こう書くと澁澤龍彦好きは反論したくなるだろうな。
澁澤龍彦の8分の1、といったところか。
わたしがブログに載せたところで、別にどうということはないだろうが、
趣味の方向が同じ人は楽しく読めるのではないか。
ちょっと応援したいので、記事にしておく。
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