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◇ 大倉舜二「作家のインデックス」その3。

三田誠広。けっこう立派な家のようだ。中学生位の息子さんのピアノ伴奏で歌曲を歌うのが
趣味らしいのだが、……まあいいけど、微苦笑。息子さんもよく付き合ってあげている。

中沢けい。「書棚の本を小学5年生の息子が持ち出すようになった」とあるが、写真を見る限り、
小5が読める本はなさそうだが……息子さんはけっこう早熟なのか。

谷川俊太郎。へー、こういう風貌の人か。ラジオに凝っているというのも意外だ。
回転式書見台を自作したそうだ。厚い辞典が背中合わせに2冊広げておける。いいなあ。
中原中也の署名入りの「山羊の歌」の初版本を持っている。そうか。そういう時代の人か。

田村隆一。男性編集者なら原稿はファックスで送り、女性編集者には取りに来てもらうそうだ。
微笑ましいが、女性編集者にとっては邪魔くさいだろう……。

野口富士男。年代物の自宅だ。埴谷雄高宅ほどではないが。ってか、黒人女性の半裸のポスターが
お気に入りで、「見ていると書けるような気がする」って!正直な人だ。
相当なおじいちゃんだからこそ、微笑ましい。

佐藤愛子。うーん、70歳過ぎてもパリっとしているねえ。この書斎の雰囲気も結構好き。
内部の雰囲気もわたしは好きなのだが、本人は去年(当時)出来上がったばかりのこの家を
気に入らないらしい。

古井由吉。マンションなのに、こんなに壁全面を書棚にして大丈夫かね?
このくらいの広い机が使いやすそうだ。まあ、人によっては広い机も、物を積み上げて単なる
物置になってしまうんだろうが、この人は机の上に何も置かない。

三木卓。普通のアパートの一室。心臓を患ったため、かかりつけのお医者さんの近くに
最近引っ越した。フットワーク軽い。

佐伯一麦。そうそう、パソコンになる前はワープロでしたよ。彼が使っているのは文豪。
地味な4畳半のアパート。絵に書いたような売れない作家生活……。
ベッドに可動式のテーブルを備え付けて、ベッドに入っても書けるようになっている。
実は「集」にいる写真も載っている。やはりこの人は「集」に来てたのか。
わたしが想像したことではなくて、お店の人から聞いたのかもしれないな。

青野聰。知らん人だけどなんか体育会系っぽい。

古山高麗雄。うおお。こ、これは……ひと頃バラエティ番組で流行ってたゴミ溜め部屋……。
ベッドの上にこんなに物あってどこで寝るんだよ。

小川国夫。門構えがお屋敷。こういう造作は新しくやろうとしてもなかなか出来ないから憧れる。
でっかい机がいいなあ。

高橋源一郎。自分の顔の大きな写真を飾っておく趣味はわからん……。コミックの本棚は、
わたしとは全く趣味が合わんわ。

森瑤子。結構な豪邸かも。トイレ4か所風呂3か所って。たしかこの人の旦那は外国人だったな。
金があることと趣味のいいことを見せつけるような家かもしれない。

中村真一郎。本自体より紙の資料の整理が難しいな。彼は紙袋を並べているようだが。
そうすると多少見た目が悪いし、埃になるし……

奥本大三郎。クモの標本はツライ……。蝶の標本もあるけど。本棚は本ではなくて標本棚だな。
なんかこの人、あやしいメキシコ人というような風貌だ。笑うと優しそうだけどさ。

石和鷹。この書斎の感じはまあまあ。雑然としているけど。机が小さいな。

中上健次。意外だ。書斎がきれいだ。……と思ったら没後に遺族を訪ねて撮ったらしい。
この人の原稿。集計用紙に特徴ある字でびっしりと書かれている。これは編集者泣かせだなあ。
恐ろしい。集計用紙1枚に、改行が全くないんだよ!

宇野千代。小物、着物、洋服。興味の対象がよくわかる。ちなみに、この本の表紙の写真は
彼女の朝食。早食いだそうな。

作家のインデックス
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以上。自己満足。

なお、「インデックス」を見出しと解し、「これ、インデックスかなあ」と疑問だったのだが、
目次のページに英和辞典の抜粋が載っている。
牽引、目録、という意味の他に「表すもの」「指針」という意味もあるそうだ。初めて知った。
その人を表わす写真。うーん、そうかもしれないね。

ただ、この写真家は「対象をえぐり取る」とか「赤裸々に人物を写してみせる」といった
攻撃性&挑戦には無縁。淡々と目についたものを撮っている。
ゆえにこの写真集はカタログとしてさくさく見られる。これが超有名写真家(ex.篠山紀信など)
だったら、もっと写真が主張するんだろうな。しかしそういう主張する写真をこの本の厚さと
写真の枚数で見たら、おそらく食傷することだろう。
あっさりしていて物足りないくらいが価値なのかな。

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