画はいい。
俳優陣も当然いい。
……が、話は、どう考えてもスピード違反ではないか。
ぶっちぎりだぜ!と言わんばかりに飛ばす飛ばす。なんとかアウトラインくらいはつかめるけど、
本当は背後にもっと色々あるだろう、細かい設定が。
その辺をちゃんと描いておかないと。ファンタジーの真骨頂は細部なんだからさ。
原作はけっこうな厚みの本だった印象があるし、おそらく映画1作で描くのは難しい。
(いつも思うけれど、この辺りを比較するとピーター・ジャクソンの天才を感じる。
というよりむしろ、あの3人体制の成功というべきか。)
だからある程度はしょる部分があるのは仕方がない。が、せめてラストはもう少し
じっくり語るべきではないのか。
最後を上手く見せれば、前半の飛ばし過ぎも仕方ないかと思えるけれど、
最後まで同じスピードでつっぱしっちゃってるからなあ。
これでは「次回作への長い前振り」と見られてもしょうがないよ。
まあ、そのスピーディな展開のお陰で、主人公絶体絶命!の部分があっという間に終わり、
すぐ助けが現れてほっと出来るということはあるが。
しかしハラハラ嫌いなわたしのような人間は少数派だろうから、「どーなっちゃうの!?」的
緊張感を期待している人には、ものすごく肩透かしなテンポの映画だと思う。
窮地に陥ったと思ったら、すぐ助けが現れ、またすぐ陥り、また助かり、また……
次回作を見るかどうか、微妙なところ。
でも、画と役者は良かったね。
画は総じて良かったけど、一番感心したのがCG。CGもここまで来たんですね。
鎧グマのイオレク。CGだって全く意識しないで見ていた。ライラが首に抱きつくところだって
違和感ないし。まあたしかに全速力のクマの背中に人間が手綱もなしに乗ることは
不可能だと思いましたけれどね。
ああ、それにしても声がイアン・マッケランだったとは。
最後のエンドロールで見て、すごく驚いた。全く気付かなかったよ。悔しい。
同じく、クリスティン・スコット・トーマスの名前もエンドロールで見て、
「どこに出てたっ!」と逆上?したのだが、ユキヒョウの声って!
叔父さんであるアスリエル卿も出番少ないのに、その付属物であるところのユキヒョウなんか、
さらに出番がないではないか。声を発したところが思い出せないぞ。
2作目以降はもう少し活躍するんだろうけどな。
主人公のライラ。これは人を得た。
ダコタ・ブルー・リチャーズ。年齢的には子役だけれど、顔立ちがずいぶん大人っぽい。
演技というより、醸し出す雰囲気がいい。将来的にも楽しみな感じ。
3部作、実年齢との乖離が目立つ前に撮っちゃった方がいいですよ。
ニコール・キッドマン。美しい。
女優は基本、美しい人だが、役に美しさが必要とされる場合と、あまり重要じゃない場合がある。
今回のこの役は前者。美しければ美しいほど、説得力があり、話にめりはりが生まれる。
これもニコール・キッドマンを得て良かったね。くっきりと輪郭が際立つ。
他の役者はどうこういうほど出番がなかった――これが話の高速ぶりを表していると思うが。
が、役者はみなさん雰囲気あるし、彼らの活躍を見たいがために第2作も見ることになるのかな。
叔父さんと気球乗りがもっと見たい。
あ、エヴァ・グリーンも。今回ぴったりの役で嬉しい。この人は独特の雰囲気があって目立つ。
クリストファー・リーも出てたなー。何にでも出てくる。御年85歳。
動いてないと死んじゃう病なんですな。
ところでロジャー役の男の子。「チャーリーとチョコレート工場」の金持ちの娘役の女の子に
そっくりじゃありませんか。姉弟という可能性はないだろうか。何しろあの鼻が……。
コメント