映画だった。映画という意味ではテレビ局製作のものなど足元にも及ばない。
だが、これはなー。残念ながら売れんわなあ。
わたしはそれなりに楽しく見たんだけど。
勘九郎と柄本明でしょ。安心して見てられる。特に柄本明なんか、今まで抑えめの演技しか
見たことがなかったのに、今回は変な顔全開。本人も楽しんでやっただろう。
小泉今日子は、人柄は良さそうだけど、女優としては大根と感じる部類。
でもこの映画ではわりあいに良かったと思う。タンカの切りっぷりとか。役柄も合ってたし。
あら、この人。と思う俳優をちらっと粋に使っているので、出会う楽しみもあった。
六平直政(初めて苗字の読みを知った……)とか國村隼とか。ほしのあきもぴったりの役どころ。
藤山直美があんな短い役で……。クレジットのトリは笹本高史ですよ。なんか嬉しかった。
こういう短いシーンだけの使い方は、役者の無駄遣いと感じることも多いのだが、
今回は(藤山直美を除いて)それぞれをわりあいちゃんと見せていたので、見てて楽しかった。
が、役者はいいんだけど……全体的なアピールポイントがまったくない。
はっきり言って、勘九郎と柄本明だから見てみようなんて物好きは、今の日本でそれほど多くはない。
感動作とかならそっち好きの人多いけど、コメディだしなあ。
といって、コメディ好きを惹きつけるほどの何かがあったかというと……
シネコンの小さなハコで、おそらく10人ちょっと。公開2週目?でこれでは。
でもって、話も実は微妙なんだ。「てれすこ」を大きく扱っちゃった結果、上手く収束出来ていない。
特にあの場面で藤山直美なんて持ってきちゃったもんだから、
もっと発展していくもんだとばっかり……あそこはマイナーな役者で良かったところだ。
てれすこを入れない方が良かったかもねえ。いいじゃん。落語風味のやじきた道中リターンズで。
……ま、話を少々いじったところで、アピールポイントがないことは解消されないんだけど。
これは興行成績によっては続編も作るという話もあったらしいが、駄目だろうな。多分売上は悲惨。
もどかしいなー。決して良作ではないけど、これは「映画」なのに。
こういう作品が興行的に、ドラマ派生映画に全然かなわないということに危機感を覚える。
封切りされるもの全部がドラマ派生映画になってしまったら、どうすればいいのだ。
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