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< 舞妓Haaaan!!! >

なぜか初日に見てしまったが……(初日を狙って駆けつけるほど楽しみだったわけではない)
この作品、一言で言って、

ものすごくアホです。

ほんと、アホか!しか言えんわなあ。クドカン作品でも、前回の「真夜中の弥次さん喜多さん」は、
それなりに余韻として残るものがあったというのに、これはきれいさっぱり何もなし!
力いっぱい飛び跳ねている役者たちをただただ見つめるだけの2時間。
彼らの突き抜けぶりにはまったく呆れます。
こういう風に書くと、間違いなく褒めているようには見えないだろうが。
しかし面白い映画でした。いや、どこがって追及されると……非常に困るけれどね。

役者を上手く動かしてるよなー。
半ばアテ書きだそうだから当然と言えば当然だが、役者がみんなはまっている。
特に主役の阿部サダヲは動かせない。あの人じゃなければ、観客はあれだけ騒がしいキャラを
2時間見続けられないだろう。変人を演じるのが上手い人は他にもいるだろうけど、
うーん、例えば松尾スズキなんかに演じられた日には、2時間我慢出来ないだろうな。
阿部サダヲの不純物のない、軽みのあるハイテンションだから耐えられる。

堤真一が上手いのはよくわかっているつもりだし、それから「3丁目の夕日」でもけっこう
コミカルな役をやっていたのは覚えてるから、本作の役柄も意外というほどでは……な……い。
しかし最後はあそこまでやるか、とは思った。案外なで肩か?
あんまり至近距離で見たくは……いや、見たい気もするけど……
ストーリーの中で、多少なりとも内容のある部分は彼と真加出君が担っているわけだが、
(他のドラマの役名で呼んではいけませんな)その部分の芝居はやっぱり良かったよ。
やっぱりいい役者ってのは、微妙な表情が上手いよなー。
……筋は安易ではあるし、こんな作品でほろりとしたってどうなるもんでもないんだが。
あのハイテンションとがっぷり四つに組んで、揺るぎもしなかったのも素晴らしい。
ちょっとでも気後れしたり遠慮したら、とたんに均衡が崩れてしまうものだから。
(あ、でも、最後の例のシーンはやはり彼の照れを感じてしまった。素で恥ずかしがって
いたような。それはご愛嬌だったけどね。)

柴咲コウは総じて良という感じ。あの野球拳シーンの叱りつけ具合はとりわけ良かった。
迫力も、怒りも、カナシサも、愛情も、丁度良いバランスで含まれている。
感情移入する映画ではないとクドカンも役者たちも言っているが、あのシーンの柴咲コウには
愛しさを感じてしまった。ようやった。

それから、小出早織の舞妓さんが可愛かった!ありゃはまり役。舞妓顔だ~。
柴咲コウが入門する時、「おきばりやす」と言った小出早織に「可愛い~!」と叫ぶシーンが
あるけど、ほんと可愛かった。踊りも手首とか指のラインがきれいだったし。
よくこんなぴったりなの見つけて来たな、と思ったけどまさか真加出君だとは……。
驚いた。……驚いたけれども、同時に、白塗りの威力も感じた。別人です。
京野ことみも酒井若菜も全然わからなかったし。

伊東四朗。やっぱりこの程度は癖がある役じゃないと、彼が演る意味がないよね。
「しゃべれどもしゃべれども」ではあまりにもまともな役で勿体なかった。
真矢みき。女将役ものすごくはまってた!ミュージカルシーン、さすが。でかした。
植木等。これが遺作だそうだ。……ある意味、この作品で良かったような気がする。
シリアスな作品でもいい味を出してた人だとは思うけど、本作でのほんの1シーンは、
ほわんとした仙人みたいな雰囲気があった。あのまま仙人のように、ふらふら壷中天に帰ってしまいそうな気がしたよ。
それは彼の退場の仕方として、なかなか恵まれたものであったのではないか。

とにかく役者を、それからアホくささとハイテンションを見る映画。
その他には何もない。なーんにもない。(いい意味で……)
あ、でも普段知る機会のない舞妓の世界を多少なりとも見ることが出来たのはお得感があった。
「SAYURI」とかと比べると、くずしてはいても安心して見てられるしね。
(ちなみに、「SAYURI」で、芸者の学校なんてないやろ、と突っ込んでしまっていたが、
実はあったのね。知らなかった。無知ゆえの至らなさ、申し訳ない。)

NHKのトーク番組に阿部サダヲが出ているのを見たけど、普段の彼は大人しいね。
だからこそ、舞台上ではあれほどテンションを上げられるのだろうけど。
じっと見ていると、目鼻立ちを含めて、わりあいにかっこいいのではないかと思えてきた。
……あれ?

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